『オデッセイ』



 『オデッセイ』を映像配信で観た。

 独創的で秀逸なSF映画。荒涼としながらも美しい火星の風景の造形も素晴らしい。
 原作(アンディ・ウィアーの『火星の人』)を読んでから観た人の多くが、「原作のほうがディテールが濃密で面白い」という主旨の感想を寄せている。が、原作未読の私はこの映画版で十分満足した。

 火星にたった一人取り残された宇宙飛行士のサバイバル劇――という骨子から想像するよりも、ずっと笑いに満ちていて、軽妙洒脱な映画に仕上がっている。よい意味でとてもアメリカ的な作品だと思った。

 ありえないことをあえて想定するのだが、原作の映画化権を買ったのが日本の映画会社で、NASAではなくJAXAを舞台にした映画に設定変更していたとしたら、どんな作品になっただろうか? 
 JAXAの予算規模はNASAの約10分の1なのだそうで、その点でもずいぶんショボい映画になりそうだが、それ以前に、もっと深刻な映画になったと思う。
 「天は我を見放した~!」てな感じで、取り残された宇宙飛行士が『八甲田山』的に悲憤慷慨する、シリアスでどんより暗いサバイバル映画になったに違いない。

 アメリカ人には、絶体絶命のピンチでジョークを飛ばすような態度を人間的強さ(とくに男らしさ)と見なすところがある。そうした特徴がよい方向に発揮されたのが、この映画のユーモアと軽妙さなのだろう。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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