永江朗『51歳からの読書術』



 今日は都内某所で打ち合わせが一件。

 上野に近い場所だったので、そのあとで上野にまで足を伸ばし、国立西洋美術館でやっている「カラヴァッジョ展」を観た。
 代表作が網羅され、たいへん見応えがあった。「出品数は日本で過去最多、世界でも有数の規模」だそうである。

 「煙草を吸う男」や「エマオの晩餐」などの有名どころも当然素晴らしいのだが、私のツボにはまったのが「カニに指を挟まれる少年」という絵。
 「カニに指挟まれちまったよ!」てな感じで口を開けて驚く少年を真正面から描いていて、むしょうにおかしい。絵の前で笑ってしまった。

 ついでに花見気分も味わおうと思ったのだが、あいにく上野公園の桜はまだ一分咲きといったところ。それでも、シートを敷いて花見をしている気の早い人たちもいたけど。


 行き帰りの電車で、永江朗著『51歳からの読書術――ほんとうの読書は中年を過ぎてから』(六曜社/1620円)を読了。

 ピンポイントで私に向けて書かれたような本である(先週52歳になってしまいましたが)。
 小林信彦に『人生は五十一から』というエッセイ集シリーズがあるそうで、タイトルはそこからとったもの。中高年に達したからこそわかる読書の愉しみについて、さまざまな角度から綴ったエッセイ集だ。

 「読書術」というタイトルから、知的生産術の実用書を思い浮かべる人が多いだろうが、そういう側面はほとんどない。ブックガイドとして読むこともできなくはないが、そういう面もあまり強くはない。むしろ、読書好きなら随所でニヤリとしながらうなずくような、非実用的で軽快な読書エッセイである。

 永江朗は「100点満点の本は書かないが、つねに65点はクリアするプロのライター」だから、安心して読める(ホメているようには聞こえないだろうが、ホメている。100点満点を狙わず、コンスタントに65点取れる仕事をするのがプロのライターというものだ)。

 50歳を超えると、若いころの自意識過剰から解放されて、人目を気にせず好きな本が読めるようになる……という主旨のことを永江は書いているのだが、これには深く同意。
 若いころはとかく、「こんな本を読んでる俺カッコイイ」的な見栄で読書する面が多分にある。逆に、「ベストセラーなんか読んでいたらみっともない」と思ったりもする。しかし、五十路ともなると、人目などまったく気にならなくなるのである。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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