マツオヒロミ『百貨店ワルツ』



 マツオヒロミの『百貨店ワルツ』(実業之日本社/1620円)を読んだ。

 娘の本棚にあったのを借りてきたもの(うちの娘は父親に似て思いっきりオタクですw)。
 著者のマツオヒロミは人気イラストレーターとのことだが、あいにく私は存じあげなかった。

 本書は、20世紀初頭(具体的な年は明示されていないが、雰囲気としては大正)を舞台に、架空のデパート「三紅(みつべに)百貨店」を一冊丸ごと費やして“紹介”したもの。
 マンガ仕立てになっているページも多い(計37ページ)が、ストーリーを楽しむという感じではなく、基本的にはイラスト集である。→本作の試し読みページ

 全ページカラーで、どのページもすこぶる美しい。次々と登場するあでやかな「モダンガール」たちの、表情や服装を眺めるだけでも陶然となる(男の私でも)。

 各階の売り場などの様子、商品の数々、百貨店の広告・ポスター、包装紙(!)に至るまで、「三紅百貨店」があたかも実在したかのように、凝りに凝って作り上げられている。その遊び心――著者は「本気で遊んで」いる――が楽しい。
 “フェイクの大正浪漫”の世界を堪能した。

 隅々まで、まったく手を抜かずに作られた本。この密度とクオリティーで1620円は安いと思う。

関連記事

トラックバック

コメント

はじめまして
前原さん、はじめまして。

僕は関西人で美術好きなので、同書が大丸心斎橋店をリスペクトした美麗さがあることを知って、購入しました。百貨店が「ハイカラな行楽地」であっただろう大正ロマンな時代を見事にリバイバルしてあり、モダンガールの美麗さもさることながら、本当にあったような社史資料を閲覧している気分になりました。

改築中の大丸心斎橋店がどんな風になるか、これを読んで更に楽しみになっています。

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

里親募集中

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
28位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
22位
アクセスランキングを見る>>