小野一光『殺人犯との対話』



 昨日は赤坂のTBSで、アナウンサーの佐藤渚さんを取材。「東日本大震災から丸5年」の関連取材である(佐藤さんは仙台出身)。きれいで聡明なお嬢さんで、好印象。


 行き帰りの電車で、小野一光著『殺人犯との対話』(文藝春秋/1566円)を読了。
 
 『週刊文春』に連載された犯罪ノンフィクション・シリーズ。21世紀になってから日本で起きた主だった殺人事件について、著者の取材をまとめたダイジェスト集のような内容だ。取り上げられたのは、下記の10ケース。

CASE 1 北村孝紘 【大牟田連続4人殺人事件】
CASE 2 松永太 【北九州監禁連続殺人事件】
CASE 3 畠山鈴香 【秋田児童連続殺人事件】
CASE 4 鈴木泰徳 【福岡3女性連続強盗殺人事件】
CASE 5 宇野ひとみ【高槻養子縁組保険金殺人事件】
CASE 6 下村早苗 【大阪2児虐待死事件】
CASE 7 山地悠紀夫【大阪姉妹殺人事件】
CASE 8 魏巍 【福岡一家4人殺人事件】
CASE 9 高橋裕子 【中州スナックママ連続保険金殺人事件】
CASE 10 角田美代子【尼崎連続変死事件】



 このうち、殺人犯当人と著者が対話を重ねたのは3つだけ(北村孝紘・松永太・ 魏巍)である。
 ほかは、「面会を申し込んだが、拒否された」などというケースばかり。なので、『殺人犯との対話』というタイトルにはいささか羊頭狗肉の感がある。殺人犯に近い当事者への取材は重ねているので、「タイトル詐欺」とまでは言わないが……。

 以前当ブログで取り上げた長谷川博一の『殺人者はいかに誕生したか――「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く』や、ジャーナリスト・清水潔が自らの事件取材を振り返った『騙されてたまるか』の類書といえる。
 だが本書は、臨床心理士である長谷川に比べると犯人の心理の掘り下げが浅いし、清水潔と比べると“真実に食らいついていく迫力”で劣っている。

 とはいえ、取材は丹念だし、読み応えのある犯罪ノンフィクションには違いない。

 10のケースのうち、松永太、角田美代子、宇野ひとみあたりは明らかにサイコパスで、「どう見ても救いようがない」という印象を受ける。
 しかし、それ以外のケースでは、「この犯人が人生のどこかでもう少し真摯に向き合ってくれる人に出会っていたら、事件は起こらなかったのではないか」と思った。

 「福岡一家4人殺人事件」の犯人・魏巍が獄中から中国の両親に送った手紙には、ただ一文字「悔」の字が大書されていたという。そのような、印象的なエピソードも多い。

■関連エントリ→ トニー・パーカー『殺人者たちの午後』

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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