リズ・ライト『フリーダム&サレンダー』



 リズ・ライトが昨年9月に出したアルバム『フリーダム&サレンダー』の評判がやたらとよいので(昨年のベストアルバムに選ぶ人が多かった)、遅ればせながら聴いてみた。

 リズ・ライトは、ファースト・アルバム『ソルト』(2003)が素晴らしかった。以来注目していたのだが、セカンド、サードとつづくにつれ、どんどん内容が地味になり、ルーツであるゴスペル色が強くなっていったので、「うーん、これならもう聴かなくてもいいかな」と心が離れてしまった。なので、前作にあたる『フェローシップ』(2010)は現時点では未聴である。

 が、久々に聴いたこのアルバム(通算5作目)はじつによい!
 ゴスペルが土台になっているのは従前通りだが、全体にロック色がやや濃くなって、メリハリのある聴きやすいサウンドに仕上がっている。
 
 今作で最もロック色が強い「ザ・ニュー・ゲーム」や、ファンキーなオープニング曲「フリーダム」などは、問答無用のカッコよさ。じつに「男前」なヴォーカルを聴かせてくれる。



 かと思えば、グレゴリー・ポーターとのデュエット曲「ライト・ホエア・ユー・アー」はホーリーな雰囲気に満ちたバラードで、すでにしてスタンダードのような風格を漂わせている。

 後半にはゴスペル的な宗教性を感じさせる曲も多いが、それがたんに「地味な曲」になっておらず、素晴らしい深みを湛えている。「リヴァー・マン」におけるフリューゲルホーン(ティル・ブレナー)の絶妙な使い方など、名匠ラリー・クラインのプロデュース手腕の冴えも随所に感じられる。



 ラリー・クラインは、ジョニ・ミッチェルの公私にわたるパートナーだったことで知られる人気プロデューサー。ことに、女性アーティストの魅力を引き出す名伯楽として名を馳せている。
 今作においても、若くして世に出ながら伸び悩んでいたリズ・ライトの底力を、見事に引き出してみせた。

■関連エントリ→ リズ・ライト『オーチャード~禁断の果実』

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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