黒船『BREAKTHROUGH』



 黒船のセカンド・アルバム『BREAKTHROUGH(ブレイクスルー)』(PEACE OF CAKE/2700円)をゲット。昨年のファースト・アルバム『CROSSOVER』が大変気に入ったので……。

 黒船は、ジャズと日本の伝統芸能を融合させた、ユニークなクロスオーバー・ジャズ・バンドである。
 ベース、キーボード、ドラムスの3人に、奄美島唄の里アンナ、津軽三味線の白藤ひかりを加えた編成。


↑このアルバムのオフィシャル・トレイラー。ほぼ全曲のさわりが聴ける。

 前作のレビューで、私は次のように書いた。

 全曲ヴォーカル入りにすればよいものを、余計なインスト・ナンバーも入っていて、それらはイマイチ。
 いや、演奏はうまいし、けっして悪くはない。ただ、普通の和風コンテンポラリー・ジャズであって、「うーん、なにも黒船のアルバムでやらなくても……」という気がしてしまうのだ。
 次作はぜひ、全曲ヴォーカル入りの島唄カヴァーで作ってほしい。



 その提案を聞き入れてくれたわけでもあるまいが(笑)、本作はファーストよりも曲目に奄美島唄・民謡が増え、それ以外の曲でも里アンナのヴォーカルの比重がぐっと上がっている。
 私にとっては「我が意を得たり」の変化で、好ましい。とはいえ、基本的には前作の延長線上にあるサウンドだが。

 ジャズ/フュージョンのカバー曲が3曲入っているのだが、それらもわりと伝統芸能寄りのアレンジになっている。
 そのうち私が気に入ったのは、パット・メセニー・グループのカバー「Have You Heard」。
 元曲は、マイ・フェイバリット・アルバムでもあるPMGの『レター・フロム・ホーム』のオープニング・ナンバー。
 パット・メセニーのギターの代わりに白藤ひかりの津軽三味線がメロディーを奏で、ペドロ・アズナールのスキャットの代わりに里アンナが島唄風スキャットを聴かせる。


↑本作のリード曲「行きゅんにゃ加那節」。あわれが深うてよろしいなあ(アラカン風)。

 奄美島唄・民謡を取り上げた5曲はそれぞれ素晴らしいが、中でも、ラストを飾る「やんばる」がダントツにカッコイイ。
 島唄とコンテンポラリー・ジャズの見事な融合。まさに「クールジャパン」である。2020年の東京オリンピック開会式には、こういう曲、こういうアーティストこそが取り上げられて欲しいものだ。

 期待を裏切らない、充実のセカンド・アルバム。


↑奄美島唄「よいすら節」をジャズ化した「YOISURA」。美しい。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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