笠原倫『リスク――エンドレス・ドラッグ・ウォーズ』



 笠原倫の『リスク――エンドレス・ドラッグ・ウォーズ』全2巻を、kindle電子書籍で購入。なんと、2巻で110円の激安セールだったので。

 このマンガについては、前に当ブログで取り上げた岩井道の『マンガけもの道』で紹介されていて、「絶対読みたい!」と思っていた。ただ、紙のコミックスは中古で高値を呼んでいて、手が出なかったのだ。やっと読めた。

 そのブッ飛んだ内容についてはネットでも読める岩井のコラムで詳細に紹介されているので、興味ある向きは一読あれ。

 古臭い絵柄といい、泥臭いストーリーといい、典型的「B級劇画」ではある。しかし、B級なりにしっかりと魂込めて描かれた作品で、じつに面白い。

 主人公の麻薬取締官は、捜査途中で犯人に捕らえられ、覚醒剤を大量注射されて生死の境をさまよった過去をもつ。その後遺症のフラッシュバックに苦しめられながらも、執念の捜査で元締めの暴力団組長を追いつめていく。
 フラッシュバックが来そうになると、それを抑えるためにサックスを吹きまくる……という設定も面白い。

 また、“扱うシャブは自分が試し打ちして質を確かめるのが商人のモラルだ”と言いつつ、どんどんシャブ中がひどくなっていく宿敵の組長も、キャラが立ちまくり。『殺し屋1』の垣原組長に匹敵する名キャラといえる。

 シャブの取り締まりに命を賭ける麻取と、シャブを広めることに命を賭ける組長の間に、立場を超えてある種の「リスペクト」が生まれる。しかし、2人はともに死に向かって突き進んでいく……という展開もシビれる。ある意味「フィルム・ノワール」的。

 たった2巻で終わってしまったのが惜しい、隠れた名作である。

 ちなみに、作者の笠原倫(りん)は、近年になって「RIN」と名義を変え、『どげせん』というヒット(板垣恵介と組んだ土下座エンタメ・マンガの怪作)を放った。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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