三浦瑠麗『日本に絶望している人のための政治入門』


 
 昨日は、取材で京都へ――。

 帰途、少し観光気分も味わいたいと思って、「伏見稲荷大社」に寄ってみた(取材先への途中に最寄り駅があったので)。

 外国人観光客に人気ナンバーワンのスポットなのだそうだ。たしかに、参拝客は外国人のほうが多い感じ。
 私は初めて行った(見ただけ。参拝はなし)。紅葉が美しかったし、まあ、一見の価値はあった。たまたまやっていた「神楽」も最後まで見てしまった。



 帰りの新幹線で、三浦瑠麗(るり)著『日本に絶望している人のための政治入門』(文春新書/842円)を読了。

 話題の美人政治学者(それにしても、この「瑠麗」というきらびやかな名前、美人でなかったら荷が重いよな)が、自身のブログ「山猫日記」をベースにまとめたもの。著者にとって初の新書、初の一般向け単著である。

 なかなか魅力的なタイトルではあるが、内容はとくに入門書という感じではない。ふつうの政治時評集である。
 ただ、著者が「あとがき」に「構造に着目した分析を心がけています」と書いているとおり、構造的な分析が勝った時評なので、その分だけ一般的な時評よりは入門寄りといえるかも。

 「この著者は安倍政権にすり寄っていてケシカラン!」というAmazonのカスタマーレビューが散見する。とくに右翼的でないのに安倍政権に好意的(集団的自衛権行使にも賛成)であるのは、いまの言論界では特異な立ち位置かも。

 著者は、いまの政治学者の中でも言葉のセンスが抜きん出ていると思う。「うまいこと言うもんだなあ」と感心するキラーフレーズが随所にあるのだ。

 たとえば、ロシアのクリミア編入に際しての欧米の対応を批判した、次のようなくだり。

 私が非常に気になるのは、ウクライナ全体の安定と人々の安全が問題の核心であるはずなのに、EU諸国やアメリカが、益がないばかりか非現実的な対応をしていることです。まず、欧米の指導者や識者の頭の中には、民衆革命のファンファーレが高らかに鳴りすぎています。これは、欧米の指導者の自国の歴史の自画像が作り出す、根強い、往々にして害のある思考パターンです。



 この文のキラーフレーズは、「頭の中には、民衆革命のファンファーレが高らかに鳴りすぎています」だ。このフレーズに込められたアイロニーの痛烈なこと。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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