『苦役列車』



 映画版『苦役列車』がAmazonプライムビデオに入っていたので、観てみた。
 西村賢太の芥川賞受賞作を、 山下敦弘監督で映画化したもの。

■関連エントリ→ 西村賢太『苦役列車』



 この映画版については、原作者の西村がエッセイなどいろんなところで酷評していた。観てみると、西村が気に入らない理由もよくわかった。

 この映画の半分くらいは原作の忠実な映像化といってよいものだが、残り半分はフツーの青春映画になっている。
 たとえば、前田敦子演ずるマドンナ役(古本屋の店番)は原作にないキャラクターだが、そもそも西村賢太の原作は、マドンナ的存在など入る余地もない、侘びしくもおかしい荒涼たる青春小説であり、そこがよいのだ。

 しかも、脚本のいまおかしんじの持ち味なのか、ところどころで妙にシュールな展開になり、そこが全体から浮いてしまっている。要するに、ディテールはともかく、全体としては原作とは別物なのだ。

 だが、それはそれとして、一編の青春映画として虚心に観れば、西村が言うほどひどい映画ではないと思った。
 北町貫多役の森山未來は、現在の西村賢太とは似ても似つかないが、本作を観ていると、「若いころの賢太はこんな感じだったかも」という気になってくる。体当たりの熱演はなかなかのものだ。

 西村賢太作品ではおなじみの鶯谷の居酒屋「信濃路」が何度か出てきたり、横溝正史の古本がストーリー上重要な役割を果たしたりと、賢太ファンにしかわからないくすぐりも楽しい。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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