小柴昌俊『ニュートリノの夢』



 今日は、北里柴三郎のお孫さん・北里一郎さんを取材。白金の北里研究所にて。

 「ひ孫弟子」にあたる大村智さんのノーベル賞受賞により、いままた脚光を浴びている柴三郎の偉大な足跡について、お話をうかがった。一郎さんご自身も、明治製菓(医薬品メーカーでもある)の社長・会長を務めたすごい方なのだ。

 北里研究所に向かう途中の商店街にも、大村さんのノーベル賞受賞を祝すポスターがたくさん貼ってあった。
 柴三郎は、第1回ノーベル生理学・医学賞の候補に挙げられながら、惜しくも受賞を逸した。それから110余年を経て、北里研究所所長などを務めた大村さんが、創立者の雪辱を果たしたことになる。


 行き帰りの電車で、小柴昌俊著『ニュートリノの夢』(岩波ジュニア新書)を読了。仕事の資料として。
 これもノーベル賞関連書籍。2002年のノーベル物理学賞受賞者である小柴氏が、そこに至る軌跡を明かした自伝である。

 ジュニア新書ゆえ、語り口は平明で、ニュートリノ関連の難しい出来事も非常にわかりやすく書かれている。

 印象に残った一節を引く。

 (物理学の)理論屋は一流と二流がはっきり分かれていて、一流の理論屋は自分が研究している理論には適用の限界があることをいつも意識していますが、二流の理論屋はその限界がわからず、自分の理論でなんでも説明できると思い込んでいます。それが、一流と二流のちがいです。



(ノーベル賞受賞決定後の記者会見で)「夢は何か」と聞かれて、「これからの夢は、教え子がノーベル賞をもらうことだ」と答えました。しかし、有力候補だった戸塚洋二が二◯◯八年七月に亡くなってしまい、大変残念に思っています。



 本書の発刊は2010年。それから5年を経て、弟子の一人である梶田隆章さんがノーベル物理学賞を受賞し、小柴氏の夢はかなったのである。

関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

里親募集中

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
18位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
15位
アクセスランキングを見る>>