武田砂鉄『紋切型社会』



 武田砂鉄著『紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす』(朝日出版社/1836円)読了。

 ライターの世界に新人賞があったなら、今年の受賞者は武田砂鉄となったに違いない。
 河出書房の編集者としてのキャリアがあったとはいえ、ライター専業となったのは昨秋。にもかかわらず、今年さまざまなメディアで名前を見かける。大活躍である。

 そのブライテストホープの初の単著を、遅ればせながら読んでみた。本年度「Bunkamuraドゥマゴ文学賞」(藤原新也選考)受賞作でもある。

 「育ててくれてありがとう」「全米が泣いた」「逆にこちらが励まされました」「あなたにとって、演じるとは?」などという、メディアにはびこる紋切型の言葉を素材に、日本の「いま」を批評する軽やかな社会時評集。

 全20本のコラムはどれも、構成も文章も凝りに凝っていて、文の「芸」としてなかなかのものだ。小田嶋隆(本書の帯に讃辞を寄せている一人)の時評コラムを、もう少し批評寄りにした感じ。
 このインタビュー記事では、「『紋切型社会』を書いたときは、影響されすぎないように小田嶋さんの本や連載を読まないようにしていた」と言っているくらいだから、かなり強い影響を受けているのだろう。
 こういう時評コラムが書けるライターって、若手ではほかに見当たらないし、たちまち売れっ子になったのも道理だ。

 ただ、最後の一編「誰がハッピーになるのですか?」では本田靖春や竹中労へのリスペクトを熱く綴っていて、小田嶋隆よりはノンフィクション志向が強いのだろうが……。

 デビュー作でこれだけの本が書けるというのは、大したものだ。
 まあ、20本のコラムは玉石混交でもあるし、私は読んでいて途中で飽きてきたけど。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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