校條剛『作家という病』



 スマホを「iPhone6」に替えた。
 私は、iPhoneを使うのはこれが初めて。使いやすいのでビックリ。これまで使っていた「AQUOS PHONE」がいかに使いにくい代物であったのかを、改めて認識した。
 最新のAQUOS PHONEはどうか知らないが、私が2年前から使っていた機種(102SHⅡ)はマジでクソであった。もっと早く替えればよかった。 


 校條(めんじょう)剛著『作家という病』(講談社現代新書/950円)読了。

 『小説新潮』編集部に29年間在籍し、そのうち9年間は編集長を務めたベテラン文芸編集者が、つきあった21人の作家たちとの間に生まれたエピソードを綴った本である。

 この手の本では、文藝春秋の文芸編集者だった高橋一清の『編集者魂』が出色であった。あの本が14人の物故作家の思い出を綴ったものであったように、本書で取り上げられているのも物故作家ばかりだ(まあ、まだ生きている作家のことは書きにくいのだろう)。

 よく似た成り立ちのこの2冊は、甲乙付け難い面白さである。
 ただ、『編集者魂』が上品で格調高い本だったのに比べ、本書はもっと下世話で、暴露本的な色合いもないではない。たとえば、作家と愛人の関係にも踏み込んでいたり、取り上げた作家の負の側面も容赦なく暴いていたりする。
 私は本書を読んで、「遠藤周作って嫌なヤツだったんだなァ」と思った。

 21編のポルトレ(人物素描)は玉石混交だが、著者が対象への愛情とリスペクトをもって書いたと思われる章は、総じて面白い。たんなるエピソード集ではなく、その作家の「核」を巧みにつかみとった作家論としても読める。
 私はとくに、山口洋子、吉村昭、北原亞以子、黒岩重吾の章に感銘を受けた。

 それと、通読してしみじみ感じるのは、本書は「小説家という職業の黄金時代の話」だということ。いまよりもずっと本が売れ、人気作家が社会的に強い力をもっていた時代ならではの逸話ばかりが並んでいるのだ。
 たとえば、こんな一節がある。

 原稿の催促は文芸編集者が一番に緊張するときで、誰でも怒鳴られた経験が一度や二度はあるはずだ。



 〆切までに原稿を仕上げないのは作家の落ち度なのに、催促すると怒鳴られるというのだから、なんとも理不尽な話だ。
 〆切など守らなくて当たり前、作家は編集者に威張って当たり前だった時代なのである。
 いまのように本が売れない時代はそんなわけにはいかず、最近の若手作家は総じて〆切をきちんと守るし、腰が低いらしい。

 小説を書くことを人生の中心に据え、そこにあまりにも力を注ぐゆえに、人間としてどこかが破綻し、欠落している……本書に登場する作家の大半は、そのような人々である。
 作家たちがよくも悪くもサラリーマン化し、優等生的になったいまではあまりお目にかかれない、「作家という病」(業といってもよい)にかかった人々の味わい深いドラマ集。

関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

里親募集中

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
41位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
26位
アクセスランキングを見る>>