平山夢明『デブを捨てに』


デブを捨てにデブを捨てに
(2015/02/20)
平山 夢明

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 平山夢明著『デブを捨てに』(文藝春秋/1000円)読了。

 タイトルといい、カバーデザインといい、一目で強烈な印象を残す最新短篇集。洋書のペーパーバックを模した製本もカッコイイ。

 収録作品は、広い意味ではホラー小説なのだろうが、化け物のたぐいはまったく出てこない。ただ、どの作品の登場人物も人間としてのタガが外れていて、化け物じみているのだ。

 下品さ、グロさは、相変わらず日本最高クラス。ただし、その下品とグロは突き抜けたユーモアに昇華されており、けっして不快ではない。むしろ、時に爽快ですらある(読者を選ぶ作家であり、生理的に受け付けない人も多いだろうが)。

 また、下品でグロなのに、読み終えたあとに不思議な寂寥感、哀切さが胸に残るのも、平山作品の特徴である。本書所収の4編もしかり。

 4編のうちでは、「痛快! ビッグダディ」のどす黒いパロディ「マミーボコボコ」が、いちばん面白かった(出てくる番組の名前が「痛恨! ジャンボぱぴー」w)。
 「ビッグダディ」的な大家族ドキュメンタリーをネタにブラックコメディを書く……というところまでは並の作家にも思いつくだろうが、ここまで荒涼とした作品に仕上げられるのは平山夢明だけだろう。

 独創的なぶっ飛んだ言語感覚も、相変わらず冴え渡っている。たとえば――。

 男は全て一気に呷った。丁度、喉の奥にキャッチャーが居れば、こんな感じに投げ込むんだぜという飲みっぷりだった。(「顔が不自由で素敵な売女」)



 ほかの誰がこんな表現を思いつくだろう。

■関連エントリ→ 平山夢明『或るろくでなしの死』レビュー

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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