70年代ポップス・ベスト・セレクション



 YouTubeの再生リストで、1970年代ポップスの私的ベスト・セレクションを作ってみた。原稿書きの合間にちまちま追加していたら、あっという間に100曲超え。これも現実逃避ですなァ。

 70年代末の曲の比率が高いのは、そのあたりから私が洋楽を聴き始めたから。 
 
 昔、自分のホームページ(もう消してしまったが)に「70年代ポップス・ベストテン」というのを書いたことがある。その原稿をバックアップ・ファイルから引っぱり出してきたので、以下にコピペ。
 ここに選んだ曲も、当然すべて上の再生リストに入っている。


 柴門ふみの短編マンガに、男がガールフレンドに「70年代ポップスのとっておきの曲ばかりを集めました。聴いてみてください」と言って自分の作ったカセットテープをプレゼントする場面があった。
 いまではタイトルさえ思い出せない、わりとどうでもいいマンガだったが、この場面だけは印象に残った。昔、私も同じことをした覚えがあるからだ。

 ファンにはよく知られていることだが、柴門ふみというペンネームは、彼女がポール・サイモンの大ファンであることに由来する。エルトン・ジョンの代表曲のタイトルをとった『僕の歌は君の歌』なんて作品もあるし、柴門ふみはとことん70年代ポップスが好きであるようだ。
 私も、70年代ポップスは大好きである。ベストテンを選んでみよう。

1位「時の流れに」(ポール・サイモン)
 ポール・サイモンの最高傑作『時の流れに』のタイトル・ナンバー。
 このアルバムにはほかに「恋人と別れる50の方法」という名曲(全米ナンバーワン)も入っているが、この「時の流れ」には及ばない。
 この曲には、私が70年代ポップスに求めるものがすべて揃っている。昔の恋人に街で偶然出会った男の心象風景を巧みに切り取った歌詞、切ないメロディー、素晴らしいアレンジ……。イントロの切ないエレピの音色からして背筋ゾクゾクものである。
 原題“Still Crazy After All These Years”(いまでも君にイカれてるのさ)のニュアンスを活かした「時の流れに」という邦題にも拍手。

2位「雨に微笑みを」(ニール・セダカ)
 50~60年代のポップ・スター、ニール・セダカが、70年代に復活を遂げて放った全米ナンバーワン・ヒット。バート・バカラックを思わせる品のよい名曲。リフレインの素晴らしいメロディは、一度聴いたら耳から離れない。つい最近も車のCMに使われていた。
 石田豊さんがDJをしていたNHK-FMのポップス番組で、毎年梅雨どきになると「雨の歌特集」をしていたのだが、私はそこでこの曲に出合った。

3位「ロンリー・ボーイ」(アンドリュー・ゴールド)
 アンドリュー・ゴールドなんて、いったい何人の人が覚えているだろう? この曲以降まったくパッとしない“アメリカの一発屋”である(ただし、スタジオ・ミュージシャンとしては一流)。一時期は矢沢永吉のバック・バンドに参加したり、アルバムのプロデュースをしたりしていた。
 これは、私がFENを聴き始めたころしょっちゅうかかっていた、1977年のスマッシュヒット(全米7位)。清冽なメロディーとドラマチックなアレンジを併せ持った、パーフェクトなポップスである。
 最近(2002年)、花*花が「LONELY GIRL」とタイトルを変えてカヴァーした。

4位「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」(エルトン・ジョン)
 大ヒットした同名アルバムのタイトル・ナンバー。柴門ふみなら「僕の歌は君の歌(ユア・ソング)」を選ぶだろうが、私が選ぶエルトン・ジョンのベスト・ソングはこれ。ファルセット・ヴォイスを駆使したヴォーカルが見事。
 初期のエルトンは、「ロケット・マン」「ホンキー・キャット」「風の中の火のように」など名曲揃いである。ピアノの一音一音が切ない。

5位「イヤー・オブ・ザ・キャット」(アル・スチュアート)
 アル・スチュアート最大のヒット曲。イントロのピアノだけで泣けてしまいそうな、切なモード全開の名曲。透明感あふれるアルのヴォーカルもよいが、なにより、長い間奏が素晴らしい。清冽なストリングスに乗って、アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、サックスが順にソロをとり、ドラマティックに盛り上がっていく。

6位「遥かなる影(クロース・トゥ・ユー)」(カーペンターズ)
 説明不要のスタンダード。ハル・デヴィッド/バート・バカラックの名コンビが生み出した数多い名曲のうちでも、最高傑作候補の筆頭だ。100年後にカーペンターズの名前が残っているとしたら、きっとこの曲によってであろう。

7位「イッツ・トゥー・レイト(心の炎も消え)」(キャロル・キング)
 70年代ポップスのイメージを決定した曲といってよいかもしれない。70年代初頭の時代相を反映して、甘やかな喪失感に満ちた曲。これもまた非の打ちどころのない名曲だ。『ファンダンゴ』という青春映画があって、時代背景となった70年代初頭のポップスを巧みに使っていたのだが、この曲も印象的に使われていた。

8位「うつろな愛」(カーリー・サイモン)
 カーリー・サイモンは私の大好きな女性シンガーである。けっして力むことのない軽やかなヴォーカルは、つねに知的かつコケティッシュ。いくつになっても「かわいい女」でありつづけている。
 彼女のアルバムで私が好きなのは、アリフ・マーディンがプロデュースしたAOR路線の『スパイ』と『男の子のように』。が、「70年代ポップス」というくくりで選ぶとしたら、やはりこの大ヒット曲。ミック・ジャガーがコーラスで参加していることでも知られる。
 リンダ・ロンシュタットがこの曲を歌ったら、蓮っ葉なロックンロールになったろう。カーリー・サイモンが歌ったから、セピアカラーのポップスになった。
 カーリーは映画『007/私を愛したスパイ』の主題歌も歌っていたが、その曲(“Nobody Does It Better”)も70年代ポップスの名曲の1つ。

9位「アメリカン・パイ」(ドン・マクリーン)
 この人も“一発屋”というべきだろうか。それとも、アメリカは広大だから、このくらいの大ヒットを放てばあとは悠々自適なのだろうか。72年に4週にわたって全米ナンバーワンになった曲である。
 8分27秒という、当時のポップス界の常識をくつがえした大作。シングルレコードでは片面に入りきらず、なんと1曲をA・B面に分けて収録された。ピアノの弾き語りで静かに始まり、終盤に向かってしだいに盛り上がっていくドラマティックな構成が見事。
 最近(2000年)、マドンナがダンサブルなアレンジでカヴァーした。
 ちなみに、萩尾望都のマンガにも、この曲にインスパイアされた「アメリカン・パイ」という短編がある。

10位「アローン・アゲイン」(ギルバート・オサリバン)
 少年の日の甘やかな孤独――そんな趣の歌詞とメロディ。これもまた完璧な名曲である。72年に6週にわたって全米ナンバーワンとなった大ヒット曲だが、皮肉なことに、ギルバートの母国イギリスでは最高位2位に終わっている。
 もうすっかり過去の人になってしまったが、来生たかおなど、日本のシンガー・ソングライターに少なからぬ影響を与えた人でもある。

 ベストテンを選んでみると、こぼれ落ちたものの中にもメチャクチャ好きな曲がけっこうある。
 というわけで、「ベスト20」にした場合の“モア・テン”をついでに選んでおこう。以下は11位~20位まで。順不同である。
 やっぱり、70年代ポップスは名曲の宝庫だなあ。

シカゴ「サタデー・イン・ザ・パーク」
ジェイムス・テイラー「きみの友だち」
ポール・マッカートニー&ウイングス「しあわせの予感」
フリートウッド・マック「ドリームス」
ジェリー・ラファティー「霧のベイカー・ストリート」
アルバート・ハモンド「カリフォルニアの青い空」
ブレッド「涙の想い出」
スリー・ドッグ・ナイト「オールドファッションド・ラブソング」
ミニー・リパートン「ラヴィング・ユー」
アート・ガーファンクル「ワンダフル・ワールド」

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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