デイビッド・ルイス『なぜ「つい」やってしまうのか』


なぜ「つい」やってしまうのか 衝動と自制の科学なぜ「つい」やってしまうのか 衝動と自制の科学
(2015/02/26)
デイビッド・ルイス

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 昨日は、都内某所で作家の安部龍太郎さんを取材。今日もまた別の取材。

 毎日出かけるわけではないのに、たまたま私が取材のときに2日つづけて雨と雪(4月なのに雪!)というのはなんだかなァ。ふだんの行いが悪いのか(笑)。


 デイビッド・ルイス著、得重達朗訳『なぜ「つい」やってしまうのか――衝動と自制の科学』(CCCメディアハウス/2160円)読了。

 性衝動や過食衝動、衝動買いから自殺衝動に至るまで、さまざまな衝動的行動のメカニズムを探った科学ノンフィクション。
 著者は独立系研究機関「マインドラボ・インターナショナル」の創設者にして、研究主幹。心理学や脳科学、神経科学など、さまざまな科学的知見を総動員して「衝動」の正体に迫っている。

 前に読んだ、『WILLPOWER 意志力の科学』『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』の類書だ(※)。

※後者の類書であることはわかりにくいだろうが、先延ばしは目先の快楽に飛びついてやるべきことを後回しにする行為であり、衝動性とはコインの裏表なのだ。

 科学読み物としてなかなか面白い本だが、私のお気に入り本の一つ『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』(これは名著)に比べると、一段落ちるかな。
 構成がやや散漫だし、『ヒトは~』が先延ばし克服のための実用書でもあったのに対し、本書は衝動性コントロールのための実用書としてはほとんど役に立たない(ごく一部だけ、コントロールのコツが書かれてはいるが)。

 それでも、「衝動をめぐる雑学」の本だと割りきって読めば、メモしておきたい知見も多く紹介されており、一読の価値はある。

 本書を通読してしみじみ感じるのは、現代文明が人間の衝動性を引き出す誘惑に満ちた「欲望の文明」だということ。我々を衝動的過食や衝動的性行動、衝動買いなどに走らせる仕掛けが、社会の隅々にまで張り巡らされているのだ。

 たとえば、著者は次のように言う。

 買い物客は自らの意志の弱さを責めることも多いが、実のところ、衝動買いは非理性的な態度が原因であるというよりも、現代のマーケティング・広告・小売販売戦略が高度に洗練されているためなのである。スーパーマーケットの入口をくぐれば、あなたはすでに衝動買いの王国の中にいるのだ。



 カバーデザインも気が利いている。「ついつぶしたくなるプチプチ」で衝動性が表現されているのだ。

 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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