八神純子『コミュニケーション』『ヤガマニア』


コミュニケーション(紙ジャケット)コミュニケーション(紙ジャケット)
(2012/08/08)
八神純子

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 八神純子の『コミュニケーション』(1985)と『ヤガマニア』(1986)を聴いた。
 彼女の長いキャリアの中でひときわ異彩を放つ、アルファ・ムーン・レーベル時代の2枚。

 私は、アルファ・ムーン時代の八神純子にしか関心がない。それ以前/以後の作品もべつに嫌いではないが、自分から積極的に聴こうとは思わない。
 だが、ムーン時代の彼女は、突如覚醒したように先鋭的な音作りに取り組んだ時期であり、いま聴いてもカッコイイ。

 それまでは歌謡曲チックな「ニューミュージック」をもっぱら作っていた八神純子だが、ムーン時代には打ち込みのエレクトロ・サウンドと強烈なビートを大胆に導入した。曲調も、米国の先鋭的ブラック・ミュージックを彷彿とさせるものになった。

 当時の時代の寵児・プリンスの影響もあったのだと思うが、それ以上に、86年に八神が結婚した英国人音楽プロデューサー、ジョン・スタンレーの影響による激変だったのだろう。

 ただし、歌謡曲チックな面もまだ少し残っており、その面と先鋭的サウンドのギャップが、むしろ特異な魅力になっている。

 私は80年代後半に、ムーン時代のベスト盤『CHAPTERII BEST SELECTION』を中古LPで買って、愛聴していた。
 だが、その後ムーン時代の作品は入手困難となり、中古市場で高値を呼んでいたため、オリジナル・アルバムを丸ごと聴く機会はなかった。

 2012年に、八神純子のデビュー35周年を記念してムーン時代の3作(もう1つは『純』)が揃って紙ジャケ仕様で再発され、やっと聴く機会に恵まれたしだい。

 彼女のたくさんのアルバムのうち、紙ジャケ化されたのはムーン時代の3枚だけだ。この時期の作品がマニアックな高評価を受けていることを、象徴している。

 発売から約30年を経てやっと丸ごと聴いたわけだが、2枚とも傑作だと思った。とくに、『コミュニケーション』は捨て曲なしの充実作である。


↑『コミュニケーション』のオープニング・ナンバー「Imagination」。洗練されたエレクトロ・ダンス・チューン。


↑シングルにもなった「カメレオン」。歌詞を英訳してチャカ・カーンに歌わせたいような、ヒップなナンバー。


↑いち早く南アのアパルトヘイトをテーマにした意欲作「ジョハナスバーグ」。「都市のレゲエ」という趣のサウンドもカッコイイ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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