中川淳一郎『縁の切り方』


縁の切り方 (小学館新書 228)縁の切り方 (小学館新書 228)
(2014/12/01)
中川 淳一郎

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 中川淳一郎著『縁の切り方――絆と孤独を考える』(小学館新書/799円)読了。

 なかなか刺激的なタイトルだが、中身はこれまでの中川の著作の延長線上にある。
 すなわち、『ウェブはバカと暇人のもの』からつづく「ネットのおバカ事件ウォッチング・エッセイ」としての側面と、『夢、死ね!』で開花した社会批評的側面を、併せ持った本なのである。

■関連エントリ→ 中川淳一郎『夢、死ね!』レビュー

 著者は、3・11以来の「絆」至上主義、ツイッターやLINEなどのSNSを中心とした「人のつながり」重視の風潮に、思いっきり冷水を浴びせてみせる。
 絆や「つながり」って、そんなにも大切で麗しいものなのか? むしろ、人生の不幸の多くは、ろくでもない人間との「つながり」から生まれてくるのではないか? ならば、不要な人間関係はどんどん切っていこうではないか、と……。

 「渾身の社会批評」(本の惹句)というほどのものではないし、むしろ著者の主張はある意味あたりまえのことばかりだと思った。たとえば、次のような主張――。

 自分にとってムダだと思う人間関係はバッサバッサ切っていいし、敵意を持っている人間を味方にする必要もない。無視するのが吉だ。なぜなら人生はあまりにも短く、人間はあまりにも多いからである。



 ただ、本書には、著者がそのような諦観にたどりつくまでの個人的経験が赤裸々に明かされており、その部分にはすごい迫力がある。

 少年時代の滞米生活(父親の海外赴任についていった)での、苛烈な被差別体験。学生時代の親友に、社会に出てから冷たくされた体験。そして何より、20代のころ、婚約者に自殺されてしまった体験……。
 隠していた傷跡をすべてさらけ出すように綴られたそれらの体験は、読者の目を釘付けにせずにはおかない。

 安易に一般化できる内容ではないし、ましてや上手な「縁の切り方」を教える実用書(だと思って手に取る人は多いだろう)でもないが、一読の価値はある本だ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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