フランス・ドゥ・ヴァール『道徳性の起源』


道徳性の起源: ボノボが教えてくれること道徳性の起源: ボノボが教えてくれること
(2014/11/28)
フランス ドゥ・ヴァール

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 フランス・ドゥ・ヴァール著、柴田裕之訳『道徳性の起源――ボノボが教えてくれること』(紀伊國屋書店/2376円)読了。書評用読書。

 名高い霊長類学者の著者は、自らの研究をふまえた一般向け科学書を数多くものしている。本書もその1つで、前作にあたる『共感の時代へ』や、旧著『利己的なサル、他人を思いやるサル』と地続きの内容である。

■関連エントリ→ フランス・ドゥ・ヴァール『共感の時代へ』レビュー
 
 前作『共感の時代へ』で、著者は丸々1冊を費やして共感の起源を探った。他者を思いやる共感がけっして人間の専売特許ではなく、さまざまな動物に広く見られることを、多くの具体的エピソードや科学的知見から立証して感動的であった。
 本書はそのテーマを一歩進め、書名のとおり「道徳性の起源」を探ったものだ。

 「道徳性」が人間固有のものだと思っている人は多いだろう。そしてその中には、道徳の起源を宗教の中に見出そうとする人も多い。道徳の起源が宗教にあるとすれば、道徳性は人間にしかないことになる。

 著者は、長年の霊長類研究をふまえ、いずれの見方にも否を唱える。動物に広く「共感」が見られるのと同様、道徳性の萌芽も動物――とくに霊長類――の中に見られる。ゆえに、道徳性の起源を宗教に求めることは誤りなのだ、と……。

 本書の原題は、「The Bonobo and the Atheist(ボノボと無神論者)」。そのことが示すとおり、「ヒトに最も近い類人猿」といわれるボノボについてのエピソードが、比較的多く紹介されている。が、それだけではない。ほかの類人猿や動物一般の話も数多く紹介されているのだ。

 動物一般に見られる道徳性の萌芽、そして霊長類に見られる原始的な道徳性についての分析を通じて、著者は動物から人間への進化の過程で、道徳性もまた進化してきたことを明かしていく。

(つづきます)
 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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