中野信子『脳はどこまでコントロールできるか?』


脳はどこまでコントロールできるか? (ベスト新書)脳はどこまでコントロールできるか? (ベスト新書)
(2014/08/19)
中野 信子

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 昨夜は都内某所で、打ち合わせを兼ねた会食。
 街はクリスマス・モード全開であったが、私はまだまだ仕事山積みである(泣)。


 行き帰りの電車で、中野信子著『脳はどこまでコントロールできるか?』(ベスト新書/840円)を読了。

 『成功する人の妄想の技術』とのタイトルで単行本として刊行されたものを、改題して新書化したもの。
 読んでみるとたしかに、『成功する人の妄想の技術』では内容にそぐわない気がする。

 中野さんのこれまでの著書の中では、本書がいちばんデータ重視の内容という印象。つまり、かなりの部分まで私見を排して、脳科学や心理学などの知見を紹介することにウエートを置いているのだ。

 メモしておきたいようなトピックが矢継ぎ早に登場し、かなりの面白さ。
 池谷裕二さんの著作でいえば、『脳はなにかと言い訳する』に近い立ち位置の本であり、ベストセラーになっても不思議はない内容だと思った。
 元本は、ちょっとタイトルをヒネリすぎだったのかも。

■関連エントリ→ 池谷裕二『脳はなにかと言い訳する』レビュー

 以下、私が「へーっ」と思ったトピックをいくつか引用。

 こんな実験事実が知られています。若い人に対して、高齢者に関する固定観念(耳が遠い、筋肉が衰えるので動作の機敏性が落ちていく、など)をいくつか聞かせると、歩く速度が遅くなるのです。自分にはまったくあてはまらない資質なのに、いつか自分も高齢者になるのだという可能性がうっすらと想起され、自分では意識していないのに、自然にその妄想が「歩く」という行動に影響を与えてしまうのです。



 男性は女性の2倍のスピードでセロトニンをつくることができるので、トリプトファンが食事から十分に摂取でき、セロトニンが正常につくられるなら、セロトニン低下によるうつからも比較的、回復しやすいのです。
 が、女性は、なかなかそうはいきません。実際、うつ病の発症率は女性が男性の2倍にものぼります。



 恋のときめきのもととなるドーパミンなどの脳内物質は加齢とともに分泌が減ってしまうのです。実は、10歳年をとるごとに平均10パーセント程度のドーパミンニューロンが死んでいくことがわかっています。
 では何歳ごろが最も「ときめき」やすいかというと、ドーパミンの分泌量だけから言えば、思春期から20歳代前半くらいになります。



 米国ジョーンズ・ホプキンス大学の神経内分泌学者、ゲーリー・ワンドが行った実験では、男性は女性よりも、同じ快楽刺激に対するドーパミンの放出量が多いために、さまざまな刺激や快楽に対して、中毒を起こしやすい、ということが明らかになりました。
(中略)
 男性では、女性よりも覚醒剤の中毒が多いのですが、この理由のひとつがドーパミンの放出量の違いにあると考えられています。



 一説によれば、人間の脳に意識という現象が見られるようになってから、たかだか3000年しかたっていないと言います。これは、考古学や、現代に残されている文献などから推定された値です。
 ですから、「私」の歴史は、生物の何億年にもわたる歴史に比べると、とても短いのです。
(中略)
 意識があるおかげで、人は快楽の上位概念として「幸せ」を感じることができます。が、一方で、不快の上位概念として「不幸」を感じます。はじめは、生存に有利な環境を見出すために必要だったであろうシステムが、自身を苦しめるものにもなってしまうわけです。



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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