工藤啓『大卒だって無職になる』ほか


大卒だって無職になる 大卒だって無職になる
(2012/10/31)
工藤啓

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 今日は、都内某所で打ち合わせが一件。

 行き帰りの電車で、工藤啓著『大卒だって無職になる――“はたらく”につまずく若者たち』(エンターブレイン/1404円)、育て上げネット編著『「働く」ってなんですか?――働けなかった僕が働けるようになってからわかったこと 』(バリューブックス/1620円)を読了。仕事の資料として。

 2冊とも、若者への就労支援を専門とするNPO「育て上げネット」の支援事例を元にまとめた本である。

 『大卒だって無職になる』は、タイトルのとおり、大卒無職者への支援事例に絞り、各ケースを物語風に再構成したもの。
 大卒者が希少で、日本経済が右肩上がりだった時代のイメージしかない親世代は、「大学まで卒業したのに就職できないのはフツウではない」と思いがちだ。しかしいまや、「ニート」は大学新卒者でも数万人にのぼるという。
 本書は、「大卒でも無職になること」が「フツウ」となった時代のありようを、ヴィヴィッドに伝える。

 そもそも、日本で若者が「社会的弱者」として支援の対象となったのは、ここ10年ほどだと著者は指摘する。
 だからこそ、「多くの人は、若者を支援するという新しい動きへの反動として、『そんなものは不要だ』と思い込んでいる」と……。

 なるほど、かつての若者たちはどんなに貧しくても支援の対象とは見做されなかった。いずれはその貧しさから脱却していく道筋が描けたから。
 だが、いまは時代が違う。10年後にいまよりも収入が上がっている保証などないし、当の若者たちも未来にそのような希望が抱きにくくなっている。

 さまざまな事情から「大卒無職」になってしまった若者たちが、「育て上げネット」のサポートによって再び働き始める蘇生のプロセスを追って、感動的な1冊。

 『「働く」ってなんですか?』は、「働けない」経験を乗り越えてきた6人の若者(または元若者)へのインタビューを中心にしたもの。

 巻末の対談で著者も言うように、世にあふれる若者の労働についての論考の多くは、「働けなかったことのない人ばかりが論じている」。
 だからこそ、自分が「働けない」ことに悩み苦しんできた人たちが、自身の経験をふまえて働くことの意味を語ることには、意義がある。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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