町山智浩『アメリカのめっちゃスゴイ女性たち』


アメリカのめっちゃスゴい女性たちアメリカのめっちゃスゴい女性たち
(2014/03/31)
町山 智浩

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 昨夜は、編集者、カメラマンとのごく小規模な納涼飲み会。今日は、午前中から都内某所で取材が1件。

 町山智浩著『アメリカのめっちゃスゴイ女性たち』(マガジンハウス/1410円)読了。

 『アンアン』の連載コラムをまとめたもの。アメリカに15年暮らしている著者が、「スゴい!」「カッコいい!」と感動した55人のアメリカン・ウーマンを取り上げたコラム集である。
 一人につき3~4ページの短い文章の中に、人となりや業績、スゴイ・ポイントが、的確にわかりやすく盛り込まれている。ポルトレ(人物素描)コラムのお手本のような本。

 ジョディ・フォスターやアンジェリーナ・ジョリー、キャスリン・ビグローなど、誰もが知るビッグネームも含まれているものの、日本ではあまり知られていない女性のほうが多めの人選になっている。

 そして、「最初から恵まれた人よりも、多くの障害を乗り越えた人を多く取り上げ」ている点が、本書の最大の特長といえる。「人種、民族、貧困、身体障害、親によって絶望的に未来を阻まれたが、逆にそれによって誰よりも強くなった人々」が、数多く登場するのだ。

 サッと読み流してしまったコラムも多いが、いくつかのコラムでは壮絶な人生に度肝を抜かれた。

 たとえば、映画『ディア・ブラザー』のヒロインのモデルになったベティ・アン・ウォーターズの半生。

 典型的なホワイト・トラッシュ(貧乏白人)の家庭に生まれながら、殺人の濡れ衣を着せられた兄を救うために弁護士になることを決め(弁護士を雇う金がなかったため)、すさまじい努力で司法試験に合格する。そして、逮捕から18年目にして兄の冤罪を晴らすものの、その半年後に兄は不慮の事故で亡くなってしまう。

 ベティは、せっかくつかんだ弁護士資格と名声を利用することなく、いまも元々の職場であった酒場で働いている。「私は兄を救うために司法試験に受かったの。自分のためじゃない」と……。

 2012年、シリア内戦を取材中に砲撃され殉職した戦場ジャーナリスト、マリー・コルヴィンの人生もすごい。
 2001年に、やはり取材中にロケット砲の破片を受けて片目を失った彼女は、以後、その片目に黒い眼帯をして取材活動をつづけた。

 生前、自分の勇敢さを讃えられたコルヴィンは、こう言い返したという。

「これから私がどんな戦場に取材に行こうと、そこで黙って耐え忍んでいる普通の住民以上に勇敢であるはずがありません」

 

 くーっ! シビれるねえ、この名言。

 このような「めっちゃスゴイ女性たち」が、次々と登場する。 
 女性のみならず男にとっても、読むと勇気がわいてくる本だ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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