『パライーソ/ブラジル×ジャズ×クラシック』


パライーソ ブラジル×ジャズ×クラシックパライーソ ブラジル×ジャズ×クラシック
(2011/08/31)
大高清美/宮本勧嗣/松本正士/ンジャセ・ニャン/ノリコ・ルイス/矢部利彦



 大高清美、宮本勧嗣、松本正士、ンジャセ・ニャン、ノリコ・ルイス、矢部利彦の『パライーソ/ブラジル×ジャズ×クラシック』(オーバーラップ・レコード)を、中古で購入。

 最近気に入っているオルガニスト、大高清美が参加しているということで、予備知識なしにゲットしてみたもの。

 サブタイトルのとおり、クラシックの名曲をブラジリアン・ジャズ風にアレンジしたもの。夏の浜辺で聴くのが似つかわしいリゾート・ミュージック集だ。

 いかにもサンバのリズムに合いそうな豪快・勇壮な曲は、注意深く避けられている。
 むしろ、サティの「ジムノペディ」とかラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」とか、パッヘルベルの「カノン」とかフォーレの「夢のあとに」とか、“切な系”の曲が中心のセレクトになっているのだ(ヴィヴァルディの「春」のような明るい曲も中にはあるが)。

 では、このアルバム自体も“切な系”かというとそんなことはなく、サンバのリズムが基調となったにぎやかで明るいサウンドなのである。
 サンバ・アレンジの「ジムノペディ」とか、ちょっと想像できないかもしれない。しかし、意外にもこれがしっくりと合っている。

 切な系のクラシックに、ブラジリアンの中でも明るい側面を活かしたアレンジを加えることによって、異種交配の妙味が生まれている。明るさと切なさが、絶妙のミクスチャー加減を見せているのである。リゾート・ミュージックではあっても、夕暮れの浜辺にふさわしい感じというか。

 どの曲も、上品で繊細なアレンジが素晴らしい(アレンジは、本作のブロデューサーでもある元倉宏がすべて担当)。
 一歩間違えば毒にも薬にもならないイージーリスニング集になりかねないアルバムだが、演奏の質も高く、フュージョン・ファンの鑑賞に十分堪える仕上がりになっている。
 アマゾンのカスタマーレビューを見たら、小林泉美&Flying Mimi Bandや大野雄二を例に挙げて本作をホメている人がいたが、同感。あのへんのサウンドを彷彿とさせる。

 キーボードは、もちろんすべて大高清美。
 ただし、彼女のジャズ・ロック的側面は本作にはほとんど出ておらず、そこがちょっと残念(わずかに、ドヴォルザークの「新世界より」第4楽章をロックなアレンジで演っているのと、「G線上のアリア」の疾走感に満ちたキーボードが大高らしい)。
 とはいえ、意外な拾い物という感じの好アルバムではある。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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