西村賢太『薄明鬼語』


薄明鬼語―西村賢太対談集薄明鬼語―西村賢太対談集
(2014/05/21)
西村 賢太

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 西村賢太著『薄明鬼語(はくめいきご)――西村賢太対談集』(扶桑社/1620円)読了。
 『西村賢太対話集』(2012)につづく、2冊目の対談集である。

 今回の対談相手は、田中慎弥・木内昇(のぼり)・本谷有希子の小説家陣と、六角精児(俳優)、テリー伊藤、マツコデラックス、ダイアモンド☆ユカイ、水道橋博士……という面々。
 『西村賢太対話集』の対談相手が全員作家(高田文夫のみ放送作家)で、「文学対談」という趣だったのに対し、本書はもっと多彩な内容になっている。

 小説家が相手の3編についても、堅い文学論にはならず、けっこう笑える。
 それでも、西村が(ほかのことはともかく)小説を書くことについてだけは誠実であることが、行間から伝わってくる。

 田中慎弥との対談で、田中の「なんで作家になったのかとか、どうやったら作家になれるのかと聞かれてもわからない」という言葉に対して、西村は次のように応じる。

西村 良い答え方がありますよ。「作家になりたいひとは作家になれません。小説を書きたいひとだけが作家になれるんです」と言えばいい。これは意外と真理を突いていますな。やっぱり損得抜きに書きたいという意欲が、根底にあってのことだから。



 また、ダイアモンド☆ユカイとの対談での、次のやりとりも印象的だ。

ユカイ ずっと私小説を書き続けていて、そこに行き詰まったりしないんですか。
西村 とっくに行き詰まって、いまやもうスカスカの状態です(笑)。でも、口幅ったいですけれども、スカスカのところから絞り出すのが職業作家なんです。他に書いてるヤツらも、限界はとっくに超えてると思うんです。そこを絞り出せるかどうかがプロとアマチュアの違いなんでしょうな。



 ほかには、本谷有希子の天然っぷりがスゴイ。
 西村に「アル中なんですか?」と率直すぎる問いをぶつけたり、「西村さんは、そう遠くないうちに死んじゃうかもしれませんね」と言ったり……。

 たしかに、随筆に垣間見える暴飲暴食ぶり、1日に100本はタバコを吸うという度外れたヘビースモーカーぶり、それにあの体型から、傍目にも心配になる。しかし、それを対談で言うか(笑)?

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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