小林弘人『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』


ウェブとはすなわち現実世界の未来図である (PHP新書)ウェブとはすなわち現実世界の未来図である (PHP新書)
(2014/03/15)
小林 弘人

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 小林弘人著『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』(PHP新書/821円)読了。

 4年前に『Twitterの衝撃』という本を読んだとき、寄稿していた10人のうちで最も強い印象を受けたのが、この小林弘人によるメディア論であった。

 本書は、ウェブに精通した小林が、ウェブと私たちの未来を展望した概説書。帯の推薦の辞で大前研一も言うように、梅田望夫の『ウェブ進化論』(2006)の進化形ともいうべき内容だ。

 ただ、『ウェブ進化論』よりもビジネス書としての側面が強い。
 ウェブの未来図を描く本であると同時に、今後ウェブをビジネスにどう活かしていくべきか、またウェブの急激な変化にビジネスの場でどう対応していくべきが、かなりの紙数を割いて語られているのだ。

 たとえば、企業経営の世界ではよく「五ヵ年計画」を(銀行などから)求められるものだが、ドッグイヤーのウェブの世界からすれば、五ヵ年計画など「ほぼ夢想にしかならない」と著者は言う。

 私たちのビジネスモデルは「ピボット」することも起こりうる。ピボットとは「方向転換する」という意味だが、事業を行っているときに突然テクノロジーが陳腐化したり、全体のトレンドが変わってきたときは、急いでそのピボットを行わなくてはならない。ピボットすると、「コバヤシくん、最初の事業計画とまったく違うじゃないか」と問われることもあるが、移り変わりの速い世界では、これが当たり前なのだ。周囲を見渡しても、ピボットできずに最初の計画にしがみついて沈んでしまった例はいくらもある。(中略)AコースからBコースにルートを変えるとき、稟議を通して重役の決済を待っていたら、そのあいだに会社がつぶれてしまう。



 書名は、“従来はウェブが社会を模倣していたが、これからの世界は逆に社会のほうがウェブを模倣して変わっていく”というほどの意味。
 梅田望夫の『ウェブ進化論』にはややナイーブな理想論という印象もあったが、著者が描く未来図はもっと現実的である。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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