松田美佐『うわさとは何か』


うわさとは何か - ネットで変容する「最も古いメディア」 (中公新書)うわさとは何か - ネットで変容する「最も古いメディア」 (中公新書)
(2014/04/24)
松田 美佐

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 今日は、取材で岐阜県中津川市へ――。
 「サラダコスモ」という会社の社長さんへの取材。同社が運営する教育型観光生産施設「ちこり村」にて。
 ちこり(アンディーブ)という野菜は初めて食べたが、シャキシャキ感が心地よい。それ以外の、有機野菜をふんだんに使った素朴な料理のバイキングもみなおいしく、お腹いっぱいになって帰宅。近所にこのような施設があったら、絶対常連になると思う。


 行き帰りの新幹線で、松田美佐著『うわさとは何か――ネットで変容する「最も古いメディア」』(中公新書/907円)を読了。
 コミュニケーション論・メディア論の研究者(中央大学教授)が、自らの研究成果をふまえ、うわさという「最も古いメディア」の歴史といまに迫った概説書である。

 うわさについて包括的に論じた一般書は過去にもたくさんあるが(私が好きなのは、別冊宝島の『うわさの本』)、それらの類書にない本書の強みは、ネット時代のメールやSNSなどを介したうわさの特徴についてくわしく論じているところ。全6章のうちの5~6章が、それに当たる。

 うわさ研究の古典的文献(清水幾太郎の『流言蜚語』など)の過不足ない紹介から、1980~90年代の「都市伝説」ブーム、そしてネット社会のうわさまで、うわさ研究史が概観できる。社会学・心理学・メディア学などを横断する「うわさ学入門」として、よくまとまっている本だ。

 随所で紹介されるさまざまなうわさも面白く、読み物としても楽しめる。
 たとえば――。

 戦後すぐの占領下日本で、「マッカーサーの祖先は日本人である」といううわさが広まったことがあったという。

 戦時中の日本人は、アメリカ人は残虐で好色だと教えこまれていた。そのアメリカ人に占領されたら、どんな恐ろしい復讐をされるのかと戦々恐々だった。ところが、占領統治が始まってみれば、米軍兵士たちはおおむね友好的であり、さまざまな民主化政策が次々と打ち出されていった。

 「占領前の予想と実際に行われた占領政策」のギャップを埋めるものとして生まれたのが、「マッカーサーの祖先は日本人」といううわさだった。つまり、“これほど日本人によくしてくれるマッカーサーは、日本人の血を引いているのではないか”というわけだ(これは著者の独創ではなく、米国の社会学者タモツ・シブタニの分析)。

 このような、うわさをめぐる面白いエピソードがちりばめられている。
 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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