佐藤優『サバイバル宗教論』


サバイバル宗教論 (文春新書)サバイバル宗教論 (文春新書)
(2014/02/20)
佐藤 優

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 佐藤優著『サバイバル宗教論』(文春新書/864円)読了。

 著者が臨済宗相国寺で僧侶たちを相手に行った連続講義「危機の時代における宗教」をまとめたもの。

 博学な著者だけに、キリスト教・仏教・イスラム教などのさまざまな宗教について縦横無尽に語られる。
 また、宗教論というより、“宗教をフィルターとした国際政治論”の趣が強い内容であり、むしろ政治の話のほうが刺激的だ。

 ただ、話があちこちに脱線して、まとまりに欠ける。きちんと構成を練った講義というより、思いつくまま話をしている感じだ。
 まあ、脱線部分にも面白い話が多いので、読んでいて退屈はしないけれど……。

 印象に残ったのは、「一神教は不寛容で多神教は寛容」という俗流宗教論を槍玉にあげている箇所。

 もちろん一神教の中にも、不寛容な人もいれば不寛容でない人もいる。しかし、基本的には、一神教というのはむしろ寛容です。なぜかと言えば、一神教の信者は神と自分の関係にしか関心がないからです。ほかの人がどんな宗教を信じているか、信じていないかにはそもそも関心がない。無関心であるがゆえの寛容というわけです。
(中略)
 他方で、多神教は寛容だという説があります。しかし、たとえばスリランカのテロには多くの仏教徒が関与しています。また、タイの紛争も、仏教徒間の紛争で、流血騒ぎも起きています。
 ですから、特定の宗教が寛容であるとか不寛容であるという議論自体が間違っているわけです。ところが、「一神教は不寛容だ」という説は、かなり安易に通用しています。政治エリートでもそんなことを信じている人がたくさんいます。



 私も「一神教は不寛容」とのイメージを鵜呑みにしていたところがあったので、この一節を読んで少し反省。

 あと、政治がらみの話では、“沖縄が日本から独立する可能性は、本土の人間が思っている以上に高い”という話が興味深かった。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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