ロバート・ビスワス=ディーナー『「勇気」の科学』


「勇気」の科学 〜一歩踏み出すための集中講義〜「勇気」の科学 〜一歩踏み出すための集中講義〜
(2013/12/21)
ロバート・ビスワス=ディーナー

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 今日は、都内某所で打ち合わせが2件。
 行き帰りの電車で、ロバート・ビスワス=ディーナー著、児島修訳『「勇気」の科学/一歩踏み出すための集中講義』(大和書房/1278円)読了。

 「ポジティブ心理学界のインディ・ジョーンズ」という異名をもつ(心理学研究のためにいろんな秘境に行っているという意味らしい)著者による、勇気についての科学的な解説書である。

 この手の本では、前に読んだ『孤独の科学』『WILLPOWER 意志力の科学』『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』(「先延ばしの科学」ともいうべき内容)が、有益で面白かった。
 その3冊のクオリティに比べると、本書は内容が薄いし、心理学の一般書というより自己啓発書に近い。

 勇気は生まれつきのものではなく「習得できる技能」であり、トレーニングによって強化することができる、と著者は言い、勇気を強めるためのコツを紹介している。

 それらのコツの中には、「なるほど」と納得できるものもある。
 たとえば、勇気を発揮するにはそれを妨げる恐怖心に打ち勝つ必要があるが、そのためには怒りの感情を利用するとよいとあり、深く得心した。

 恐怖が行動を躊躇させる感情であるなら、その恐怖を上回るさらに強い感情的な反応によって、私たちは速やかな行動に導かれるはずです。人間の“感情のパレット”には、恐怖を克服するだけの強さをもつ、唯一の感情があります。それは、怒りです。
(中略)
 強い怒りの感情によって勇気を引き上げることを考えるうえで大切なポイントは、自分が大切にしている価値観を基準にすることです。



 しかし、これ以外のコツは、あたりまえのことばかりという印象を受けた。

 たとえば、経営者や警察官などの行動に勇敢さが見られることが多いのは、彼らが自分に与えられた責任を自覚しているからだ、という主旨のくだりがある。責任感が勇気を後押しするのはあたりまえのことであって、何も心理学者に教えてもらわなくてもわかる。

 あと、“じつは女性のほうが勇気があるのではないか”という話も、興味深く読んだ。
 たとえば、「ホロコーストにおいて自身の危険を顧みずにユダヤ人を救った人に与えられる『諸国民の中の正義の人』称号を持つ人のうち、約六割が女性」なのだという。

 そのように有益な知識も得られるので駄本とまでは言わないが、読み返したいとは思えなかった。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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