渡辺香津美『スピニング・グローブ』


スピニング・グローブスピニング・グローブ
(2013/12/04)
渡辺香津美(g)

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 渡辺香津美の『スピニング・グローブ』(ワーナーミュージック・ジャパン)を聴いた。現時点の最新作だが、出たのは昨年末。

 私は香津美のアルバムではハードかつ知的なジャズ・ロック路線のものがいちばん好きだが、本作はまさにその路線。しかも、80年代の名盤『スパイス・オブ・ライフ』で組んだベーシストのジェフ・バーリンが再び参加してのトリオ編成! 

 これでドラムスがビル・ブラッフォードなら『スパイス・オブ・ライフ』トリオの再現になったわけだが、残念ながらブラッフォードはすでにドラマーとしての引退を表明している。
 今回のドラムスは、ヴァージル・ドナティという人。手数が多くてなかなかいい感じ。

 アルバムのラストで、『スパイス・オブ・ライフ』に入っていた曲「JFK」を再演している。香津美本人も、『スパイス・オブ・ライフ』を十分意識して本作を作った証だろう。

 同じようなトリオ編成のジャズ・ロック・アルバムとして、リチャード・ボナ、オラシオ・エルナンデスと組んだ「New Electric Trio」による『Mo' Bop』3部作がある。
 わりとハードドライヴィンで直球な感じだった『Mo' Bop』3部作に比べると、本作のほうがリズムがすごく複雑で、凝っている。そして、ベース、ドラムスのウェイトがかなり高め。ギタリストのリーダーアルバムではあっても、ギターばかりが出ずっぱりではないのだ。

 ドナティもバーリンも、すごいテクニシャンで弾きまくり、叩きまくりなのだけど、音数が多くても暑苦しくなくて、クール。そこがいい。

 楽曲の面でも、収録曲9曲のうち3曲をドナティが、2曲をバーリンが書いている。
 そして、こう言ってはなんだが、2人の曲のほうが香津美が書き下ろした2曲よりもいい。
 
 ドナティ、バーリンの2人が、香津美のよさをうまく引き出している感じ。
 たとえば、ドナティはアラン・ホールズワースとよく共演しているらしいのだが、彼が書き下ろした「シークレット・オブ・トーキョウ」という曲はすごくホールズワースっぽく、香津美もいつになくホールズワース風のギターを弾いている。

 『スパイス・オブ・ライフ』が好きだった人なら、きっと気に入るアルバムだと思う。私もたいへん気に入った。

 それにしても、渡辺香津美ももう還暦なのだね……。

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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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