岩佐大輝『99%の絶望の中に「1%のチャンス」は実る』


99%の絶望の中に「1%のチャンス」は実る99%の絶望の中に「1%のチャンス」は実る
(2014/03/14)
岩佐 大輝

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 岩佐大輝(ひろき)著『99%の絶望の中に「1%のチャンス」は実る』(ダイヤモンド社/1404円)読了。仕事の資料として読んだ。

 東日本大震災で津波の甚大な被害を受けた宮城県山元町出身の若手経営者(1977年生まれ)が、山元町名産のイチゴの高級ブランド化に取り組み、わずか3年で見事な成果を上げるまでを綴ったもの。
 著者たちが作り上げたブランド「ミガキイチゴ」は、伊勢丹等で1粒1000円、12粒詰め1万円の高級イチゴとして売られているのだ。

 本書は、震災復興ドキュメンタリーとしても、ビジネス書としても優れた内容だ。

 著者はIT企業の経営を10年つづけてきた人物だが、イチゴ作りはおろか農業経験もゼロ。それでも、経営者としての優れた才覚で壁を乗り越え、滅びかけた故郷の町にコンピュータ制御の最先端イチゴ農場を作り上げていく。

 著者が打つ手の一つひとつが理にかなっており、ワタミ的な歪んだ精神論が微塵も混入していない点がよい。「こういう経営者なら、イチゴ作りにかぎらず、どんな分野でも成功するだろうな」と思わせる。

 著者のパートナーとなる、イチゴ作り一筋40年の65歳「忠嗣ちゃん」が、じつにいいキャラしてる。
 イチゴを粗末に扱う者は怒鳴り飛ばし、「イチゴはおなごのようなもんだ。やさしくいたわれば甘ぐ育づんだ」と、訥々とした東北弁でサラリと名言を吐く。頑固だが愛嬌のあるおじいちゃんである。

 ビジネス書としての難点を挙げるなら(エラソーですね)、当初伊勢丹側から「来たイチゴ全部ダメ!」「福岡の『あまおう』にも負けています」と言われたという「ミガキイチゴ」が、1粒1000円のブランド品に生まれ変わるまでのプロセスが端折られている点が物足りない。このへんはもっとじっくり書き込むべきだったろう。
 まあ、いわゆる「企業秘密」に類する部分だからと、あえて割愛したのかもしれないが……。

 ともあれ、震災の絶望から立ち上がって懸命に希望を探していくプロセスが、さわやかな感動を呼ぶ好著ではある。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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