リターン・トゥ・フォーエヴァー『ミュージックマジック』


ミュージックマジックミュージックマジック
(2013/10/09)
リターン・トゥ・フォーエヴァー

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 リターン・トゥ・フォーエヴァーの『ミュージックマジック』(ソニー・ミュージック・ジャパン)を聴いた。

 RTFのアルバムは愛聴してきた私だが、これは唯一聴き逃がしていたもの。1977年発表の、RTF名義のラスト・アルバムである(その後復活してライヴ・アルバムを発表しているが)。

 チック・コリア率いるRTFは、ラテン・フレーバーのさわやかフュージョンだった第1期、重厚華麗なジャズ・ロックを追求した第2期、ホーン・セクションを加えた第3期に分けられる。

 本作は、第3期唯一のスタジオ・アルバムである。
 RTFといえば、「カモメ」の愛称で知られるセルフタイトルのファーストや、ジャズ・ロック期の頂点を極めた『浪漫の騎士』ばかりがよく知られている。それに対して、本作は知名度も評価も高くない。

 聴いてみれば、その理由もよくわかる。第1期、第2期に比べると、どっちつかずで中途半端な印象なのだ。
 「初期のリターントゥフォーエヴァーにブラス・セクションがプラスされたような音楽」(小川隆夫のライナーの一節)なのだが、ブラスが加わって華やかでファンキーになった分だけ、ファーストアルバムにあった清冽な透明感は薄れ、通俗的(よくいえばポップ)になっている。
 さりとて、第2期のような、ロックファンをも唸らせるハードネスは望むべくもない。

 私も初回聴いたときには「つまらないアルバムだなあ」と思ったが、聴き込むうちによさがわかってきた。これはこれで、悪くない。
 
 第1期のフローラ・プリムに代わって、本作ではチックの妻ゲイル・モランがメイン・ヴォーカルを務めている。
 全曲ヴォーカル入りの構成で、わかりやすくて聴きやすい。全編に心浮き立つ明るさが満ちている点もよい。それでいて、細部のアレンジはよく練られている。



 第1期、第2期と比較して“足りないもの探し”をするから不満を感じるのであって、虚心坦懐に1枚のアルバムとして聴けば、非常に質の高いポップ・フュージョン・アルバムといえる。

■関連エントリ
リターン・トゥ・フォーエヴァー『ザ・マザーシップ・リターンズ』レビュー
リターン・トゥ・フォーエヴァー『アンソロジー』レビュー
リターン・トゥ・フォーエヴァー『銀河の輝映』レビュー

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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