PINK『サイバー』ほか


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PINK

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 最近、いまさらながらPINKにハマっている。1980年代後半の日本のロックシーンに独自の地位を築いた孤高のバンドである。
 当時、「無国籍サウンド」などと評されたものだが、要は80年代Jロックの枠から外れた世界レベルのロックを創り上げていたということだろう。

 オリジナルアルバムとしては5作を残したのみで解散した、短命なバンド。いまになってその5枚を中古で買い揃えているのだが、いずれも、四半世紀を経たいま聴いても少しも古びていない。エバーグリーンな魅力に満ちているのだ。

 私がいちばん好きなのは、4thアルバム『サイバー』(1987年)。
 彼らの最高傑作として何を選ぶかは意見の分かれるところで、ファーストアルバムやサードの『サイコ・デリシャス』を挙げる人も多いのだが、私が選ぶならこの『サイバー』である。

 サードアルバムまでは福岡ユタカのバンドという印象が強かったPINKだが、この『サイバー』ではホッピー神山や岡野ハジメらのほかのメンバーも楽曲を提供している(ヴォーカルも)。そのため、福岡の作る曲とほかのメンバーが作る曲の個性がからみ合い、極彩色なイメージを生み出している。

 ラストアルバムとなった次作『RED&BLUE』になると、もはや各メンバーの作る曲の個性がバラバラで、ソロアルバムの寄せ集めのような印象がある。が、この『サイバー』ではまだ、個性のぶつかり合いがよい意味の緊張感に結びついている。





 ベースが強烈にファンキーな「TOKYO JOY」「CLIMB, BABY CLIMB」のように、タイトル通りのサイバーパンクなイメージの曲が多いのだが、その合間に「SILENT SUN」「熱砂の果て」のようなロマンティックで切ない“無国籍バラード”が挟み込まれている。

 メイン・ヴォーカルの福岡ユタカの声は、美声ではあるがクセが強く、好悪が分かれるところだろう。じつを言えば私も80年代当時は苦手だったのだが、いま聴いてみるとじつに素晴らしいヴォーカルだ。





 楽曲は粒揃いだし、メンバーは歴戦の強者ばかりだから演奏の質の高さは言うまでもないし、日本ロック史に輝く名盤の一つだと思う。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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