立花隆『読書脳』


読書脳 ぼくの深読み300冊の記録読書脳 ぼくの深読み300冊の記録
(2013/12/09)
立花 隆

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 佐村河内守のゴースト作曲家問題、私にとっては二重の意味で他人事ではない。
 本の世界でゴーストライターを長年やってきた身であるし、私自身が佐村河内を取材して記事を書いていてもおかしくなかったのだから(もしそうなっていたら、私も彼にだまされた側として地団駄踏んでいたところだ)。

 ……と、そのような切実な関心のもと、告発記事の載った『週刊文春』を買い、ニコ動で生中継された作曲家の記者会見もリアルタイムで全部見てしまった。

 いやー、これは歴史に残るトンデモ事件だ。『ニュースの天才』(米国で実際に起きた捏造報道事件を描いた作品)のように映画化されても不思議はない。『週刊文春』の8ページの記事だけでも、ヘタな映画よりドラマティックである。

 ここ二日間ほど「ゴーストライター」という言葉が各メディアに躍ったことは、かつてなかっただろう。
 十把一絡げに、普通のゴーストライター(ブックライター)の仕事にまで後ろ暗いイメージがなすりつけられるのは、我々ライターとしては大迷惑だなあ。
 いや、私もさすがに芸術作品のゴーストは御法度だと思うけど。

■関連エントリ→ ゴーストライターの仕事について


 立花隆著『読書脳――ぼくの深読み300冊の記録』(文藝春秋/1680円)読了。

 立花が『週刊文春』に月イチ連載している読書日記の、単行本化第4弾。連載自体はもう21年に及んでいるという。私はこれまでの3冊もそのつど買って読んでいる。それぞれブックガイドとして有益だし、毎回オマケ的に併録される読書日記以外の文章も、それぞれ面白い。

 前作にあたる『ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊』(2007年)は、オマケである立花へのロングインタビューだけで本一冊分あり、すごいボリュームだった。
 対照的に、本書のオマケは石田英敬(東大図書館副館長)との対談のみ。ページにしてわずか30ページほど。なので、これまでの4冊でいちばん小じんまりとした作りになっている。

 それはともかく、この対談も読書論として、また本の未来を展望するうえで読み応えのある内容だ。読書日記の部分も、相変わらず中身が濃い。

■関連エントリ→ 立花隆『ぼくの血となり肉となった五〇〇冊そして血にも肉にもならなかった一○○冊』レビュー

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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