ももち麗子『デイジー ~3.11女子高生たちの選択~』


デイジー ~3.11女子高生たちの選択~(1) (デザートコミックス)デイジー ~3.11女子高生たちの選択~(1) (デザートコミックス)
(2013/03/13)
ももち 麗子

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 ももち麗子の『デイジー ~3.11女子高生たちの選択~』(全2巻/講談社KCデザート)を読んだ。
 この間から仕事で読んでいる、東日本大震災関連マンガの一つ。

■関連エントリ→ 『ストーリー311』レビュー
 
 ももち麗子のマンガは、以前『問題提起シリーズ』というのを読んだことがある。
 絵柄といい内容といい、典型的少女マンガで、オッサンの私が読むには気恥ずかしかったのだが、読んでみたら意外によかった。

 本作は、小林照弘らによる『ピエロ ~夜明け前~』という小説が原作なのだという。
 私はその小説を読んでいないので、ももちの独創がどの程度加わっているのかはよくわからない(原作ではなく「原案」として紹介している記事もある)。
 ともあれ、ももちはこの作品を描くにあたって独自の被災地取材も重ねており、原作そのままではない。

 福島に住む仲良し女子高生4人が、原発事故がもたらしたさまざまな苦難(家業の危機、被災者への差別など)に直面しながら、友情によってそれらを乗り越えていく物語。高校2年で「3・11」を迎えた4人が、卒業するまでの1年間が描かれている。

 主人公4人のキャラクターが、あまりにステレオタイプで工夫がなさすぎる。
 学業優秀な優等生と、ヤンキーと、腐女子なオタクと、お金持ちのお嬢様――という組み合わせ。いわゆる「スクールカースト」において、それぞれが“別カースト”に属するだろうし、この4人が親友になってバンドを組むという設定自体、無理がありすぎると思う。

 ……と、ケチをつけてしまったが、設定はともかくストーリーはよくできていて、大人の鑑賞に十分堪える。
 あとがきに「福島に住んでいるというだけで婚約を取り消されてしまった女性がいたことも、米農家の方が殺人者呼ばわりされたことも事実です」とあるように、3・11後の福島で実際に起きた出来事の数々が、オーソドックスな少女マンガの枠組みの中に、巧みに盛り込まれているのだ。

 なお、タイトルの「デイジー」とは、主人公4人が組んでいたバンドの名前であり、彼女たちの「絆」の象徴である。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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