赤田祐一・ばるぼら『消されたマンガ』


消されたマンガ消されたマンガ
(2013/07/22)
赤田 祐一、ばるぼら 他

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 赤田祐一・ばるぼら著『消されたマンガ』(鉄人社/1365円)読了。

 諸団体からの抗議や版元の自主規制、裁判沙汰など、さまざまな事情によってマンガ史から抹殺された作品群を、1作品につき2~4ページ程度の解説で紹介していく本。1940年代から現在までの約60作品が取り上げられている。

 類書として『封印作品の謎』(安藤健二)というシリーズがあるが、あちらはマンガにかぎらず、テレビ番組や映画など広い分野の作品を取り上げていた。マンガだけに絞り、しかも戦前から現在までの作品を網羅的に扱った本は、ありそうでなかったのだ。

 著者の1人・赤田祐一は筋金入りのマンガ好きとして知られ、編集者として大泉実成の『消えたマンガ家』シリーズを生んでいる。消えたマンガ家の次は消されたマンガ、というわけだ。

 なにしろマンガ史から抹殺された作品ばかりだから、多くの作品が単行本未収録、もしくは絶版。作品に接するためには元の掲載誌や貴重な原本を探し出さねばならない。その作業だけでも相当な労力であったろう。
 「抹殺」に至る経緯についてもよく調べてあって、マンガ史の一側面を知るための資料として価値が高い。

 タイトル自体がほとんど知られていない作品も多い一方、『ゴルゴ13』『ちびまる子ちゃん』『ブラック・ジャック』などの有名作品の「消された回」についても取り上げている。
 『サザエさん』にすら、差別用語を堂々と用いて単行本未収録となっている回がある、という話など、時代の変遷を実感させて興味深い。

 ただ、本として面白いかというと、それほどでもない。
 マンガ史から「消された」理由は、差別表現・猥褻表現・残酷描写・盗用などが問題となったことだが、その舞台裏を知ったところで、さして驚きや発見があるわけではないからだ。「これじゃあ問題になるのも無理ないわな」で終わってしまうケースが多いのだ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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