ダロン・アセモグルほか『国家はなぜ衰退するのか』


国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源
(2013/06/21)
ダロン アセモグル、ジェイムズ A ロビンソン 他

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 ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン著、鬼澤忍訳『国家はなぜ衰退するのか――権力・繁栄・貧困の起源』(早川書房/上下各2520円)読了。

 書評用読書。
 MITとハーバードの教授である経済学者・政治学者が、「国家間の貧富の格差は、そもそもなぜ生じたのか?」という問いに答えた大著。

 その問いに対する答えとして、これまで一般的だったのは「地理説」「文化説」「無知説」の3つだったという。地理的条件、宗教・慣習などの文化、統治者の無知に、それぞれ原因を求めるものだ。

 著者2人はそれらの有力説をしりぞけ、政治・経済制度こそが国家の繁栄と衰退を分かつ決定要因だとする「制度説」を唱えている。本書は、その「制度説」に沿って歴史をとらえ直していくものなのだ。

 ジャレド・ダイアモンドの代表作『銃・病原菌・鉄』は、「地理説」の1バージョンであった。
 本書は第2章「役に立たない理論」でダイアモンドの説を名指しで批判しているのだが、にもかかわらずダイアモンドは本書に讃辞を寄せている(度量が大きいね)。

 私には専門的な当否はわからないが、「地理説」「制度説」のどちらが正しいというより、国によってはどちらもあてはまるのではないか。そもそも、国家の繁栄と衰退にはさまざまな要因が複雑にからみ合っているはずで、一つの理論ですべて説明しようというほうが無理な話なのでは?

 それはともかく、本書はバツグンの面白さであった。お堅いテーマにもかかわらず読み物として質が高く、興味深いエピソードの連打で上下巻700ページを一気に読ませるのだ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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