佐藤典雅『ドアの向こうのカルト』


ドアの向こうのカルト ---9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録ドアの向こうのカルト ---9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録
(2013/01/18)
佐藤 典雅

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 一昨日から昨日にかけて、取材で熊本県水俣市へ――。
 今回は雑誌記事ではなく、映像の仕事のシナリオハンティング。とはいえ、やることは雑誌の取材と同じで、いろんな人に話を聞くのである。
 2日間で20人以上の方にお話をうかがい、クタクタになって帰宅。

 熊本県はどこへ行っても「くまモン」だらけ。市職員の名刺もくまモン(名刺自体がくまモン型)なのであった。


 佐藤典雅著『ドアの向こうのカルト――九歳から三五歳まで過ごしたエホバの証人の記録』(河出書房新社/1890円)読了。

■参考→ 『ドアの向こうのカルト』公式紹介ページ

 幼少期から青年期にかけてエホバの証人の信者だった著者が、信者としての歩みと脱会に至る経緯を綴った自伝である。
 この手の本にありがちな声高な告発調ではなく、ごく普通の書き方をしているところが新鮮だった。「たまたまカルト教団に入った1人の男性の、風変わりな青春記」という趣なのだ。

 とはいえ、本書で初めて知った信者たちの暮らしぶりは、やはり衝撃的ではあった。
 たとえば、著者の少年時代、部屋に隠し持っていた『北斗の拳』のコミックスが母親に見つかり、それだけのことで激怒される場面がある。

「闘いを学ばないクリスチャンがなぜこのような血みどろのマンガを!!」
「こんなサタンのものを家に持ち込んで汚らわしい!!」



 そして、著者は母親に何度もビンタされ、部屋の本棚の中身をひっくり返され、隠し持っていたマンガ本やロック音楽のカセットテープをすべて捨てられてしまうのであった。「こういうサタン的なものを聞いているから、行状が良くならないの!」と……。

 それどころか、「デートのような不道徳の始まりとなるサタンの罠にはくれぐれも気をつけましょう」と言われ、結婚を前提としない男女交際も婚前交渉も禁止。
 ゆえに少年期の著者は、「その頃から私は自分で自分の感情を殺すようになった。好きにならないように感情のスイッチを切るのだ。よって私は青春時代にはキスはおろかデートすらしたことがない」という。

 カルトの思考スタイルを知るために役立つ本。
 ただ、脱会に至る経緯を綴った章で、著者が「霊能者」との出会い(それが洗脳を解く一つのきっかけになる)や江原啓之の本を肯定的にとらえている点には、ちょっと首をかしげた。カルトからスピリチュアルに鞍替えしただけなんかな、と……。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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