外岡秀俊『「伝わる文章」が書ける作文の技術』


「伝わる文章」が書ける作文の技術 名文記者が教える65のコツ「伝わる文章」が書ける作文の技術 名文記者が教える65のコツ
(2012/10/19)
外岡秀俊

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 外岡秀俊著『「伝わる文章」が書ける作文の技術――名文記者が教える65のコツ』(朝日新聞出版/1365円)読了。

 朝日の本社編集局長まで務めたベテラン・ジャーナリスト(すでに朝日は退社)が、文章作法の初歩の初歩、基本の「き」からわかりやすく説いた文章読本。タイトルに「作文」とあっても、読者対象はあくまで大人である。

 本書のためにネット上で「文章教室」を開き、そこへの投稿を著者が添削することで文章を教える、という形をとっている。著者のアドバイスは、微に入り細を穿つ感じのていねいなものだ。

 私が駆け出しライターだった四半世紀前、年長の編集者からこんなことを言われた。

「ライターは、名文を書こうなんて思わなくていいんだよ。名文なんてのは事故みたいなもんだからさ。普通に読める文章を書いてくれればそれでいいんだ」

 いま思い出しても含蓄あふるる、そして駆け出しに対する的確な助言である。
 本書にも、次のようにある。

 この本は「いい文章」や「優れた文章」を目指すのではなく、「伝わる文章」を目標に書かれています。
 はじめから「いい文章」を目指すのは、語学を学び始めた人が、いきなり同時通訳の技法を真似るようなものです。



 いかにスムースに読者に「伝わる文章」を書くか。それこそが文章作法の基本の「き」であり、そこができていない者が先へ進もうとしても、どだい無理な話なのである。

 この著者の本は、朝日編集局長時代に上梓した『情報のさばき方――新聞記者の実戦ヒント』(朝日新書)を読んだことがある。
 こちらは、ジャーナリスト/ライター向けに書かれた「知的生産の技術」本(むろん文章術も含む)。ゆえに私にも大変参考になったが、本書は物足りなかった。
 全体が基本編・応用編・実践編の三部に分かれており、そのうち過半を占める「基本編」は、プロのライターにとってはわかりきったことばかりである。

 ただ、「文章を書くのが苦手だ」という人が基本から学ぶためには、たいへんよい本だと思う。

 『情報のさばき方』を読んだときにも思ったことだが、著者には偉ぶったところが微塵もなく、人柄のよさが伝わってきて好感がもてる。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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