TRIX『POWER』、ピラミッド『PYRAMID3』


POWERPOWER
(2012/06/27)
TRIX

商品詳細を見る


 TRIX(トリックス)の『POWER』とピラミッドの『PYRAMID3』を聴いた。


PYRAMID3PYRAMID3
(2011/04/13)
PYRAMID、和泉宏隆(p) 他

商品詳細を見る


 TRIXとピラミッドは、どちらにも元カシオペアのメンバーと元T-SQUAREのメンバーが1人ずついる。その意味では2つとも、J-Fusionの王道を行くバンドといえよう。

 最新作(といっても、昨年と一昨年に出たもの)2枚を聴いても、軽快で聴きやすい典型的フュージョンという感じが共通している。
 それでいて、聴きこんでみると、やはり昔のフュージョンとは違う。非常に洗練されていて、「21世紀のフュージョン」という趣なのだ。
 そもそも、私はカシオペアもT-SQUAREもそれほど好きではなかったから、昔のカシオペアやT-SQUAREのような音なら食指が動かなかったはず。なのに、私は2枚ともたいへん気に入った。「一見典型的フュージョンでありながら、じつは新しい」部分に惹かれればこそである。

 それにしても、よく似た出自をもつ王道フュージョン・バンド同士でありながら、2枚のアルバムは見事に対照的である。進化のベクトルが真逆なのだ。
 2つのバンドともテクニシャン揃いなのだが、TRIXはそのテクニックをとことん突きつめるハイパー・テクニカル・フュージョンを志向しており、ピラミッドは逆にテクニックをひけらかさない落ちついた「大人のフュージョン」を志向している。

 TRIXはパワフルでスピーディー。すさまじいギターの速弾きなどが随所にちりばめられており、曲展開も複雑で凝りに凝っている。それでいてけっして小難しくはならず、聴き心地は爽快そのもの。



 一方のピラミッドは、ガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」やビートルズの「涙の乗車券」のカヴァーが入っていたりして、一歩間違えばたんなるイージー・リスニングになってしまいそうな(それでいて、けっしてそうはならない)、ホテルのラウンジとかに似合いそうな流麗なフュージョンなのだ。



 両者の差異は、J-Fusionが進むべき2つの方向性を象徴しているようにも思える。

■関連エントリ→ ピラミッド『TELEPATH』ほかレビュー

 
関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

ブクログ・MY本棚

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
32位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
22位
アクセスランキングを見る>>