中村淳彦『職業としてのAV女優』


職業としてのAV女優 (幻冬舎新書)職業としてのAV女優 (幻冬舎新書)
(2012/05/30)
中村 淳彦

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 中村淳彦(あつひこ)著『職業としてのAV女優』(幻冬舎新書/840円)読了。

 著者は、AV女優や風俗嬢、素人売春をする女性をおもな取材対象にしてきたライター。この人の本は、企画AV女優のインタビュー集『名前のない女たち』を読んだことがある。
 いまはライターをつづけながら、高齢者デイサービスセンターを運営しているのだそうだ。これからはライター専業で食っていくことが難しくなり、彼のような兼業ライターも増えていくのだろう。

 本書は、著者の豊富な取材体験に基づいた、AV女優という特殊職業の「入門書」である。
 AV女優を目指す女性にとっては恐ろしいほどリアルな職業ガイドとなるだろうし、男性読者の下世話な興味も十分満たしてくれる本だ。

 「職業ガイド」と書いたが、本書を読んでもなおAV女優になりたいと思える人は少ないのではないか。
 深刻なアダルトメディア不況でAVの売り上げがどんどん下がっているいま、ごく一部の人気女優を除けば、AV女優は昔のようにラクに稼げる仕事ではなくなり、過酷で割に合わない職業になっているからだ。その驚くべき実態を、著者は淡々としたタッチで紹介していく。

 AVをめぐる有名な事件(殺人事件や相次ぐ女優の自殺、バッキー事件など)にも一通り触れられており、1990年代から現在までのAV業界盛衰史としても読むことができる。

 驚愕の事実が目白押しである。たとえば――。

 AV女優の全体の80%以上は一本数万円という報酬。専業の場合、遊ぶどころか、質素な自分の生活を支えるのも困難である。



 かつて、AV女優になる入口は路上で女性たちに声をかけるスカウトだったが、現在は自分から出演したいと志願し、応募してくる女性が中心となった。



 現在はAV女優の半数はまったく仕事がないといった状態であり、一般OLほどの収入を得ることも難しい。AV女優になるために求められる外見や内面のクオリティは、まだまだ上昇し続けて、労働量はもっと増えて出演料はさらに低下していくことが予想できる。裸を売ることがリスクでなくなってしまったことと引き換えに、女のカラダは簡単に売れる時代ではなくなったのである。
 一部の競争に勝ち残った人気ある女性はテレビ出演して海外ではファンが殺到し、脱がないタレントとしても成功しているが、楽に稼げることに依存して収入が激減してもしがみついた女性の中にはホームレスまで生まれている。



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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