山田順『出版・新聞 絶望未来』


出版・新聞絶望未来出版・新聞絶望未来
(2012/11/02)
山田 順

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 山田順著『出版・新聞 絶望未来』(東洋経済新報社/1575円)読了。
 タイトルどおりの内容で、出版界の片隅に身を置く者としてはお先真っ暗な気分になる本(笑)。

 光文社の元編集者であるこの著者の本は、電子書籍ブームに冷水をぶっかけた『出版大崩壊――電子書籍の罠』(2011)を読んだことがある

 本書は、『出版大崩壊』の続編ともいうべきもの。低迷する出版業界の救世主とも思われた電子書籍ブームも(日本では)不発に終わり、ジリ貧状態がつづく現状を、各種データと現場の声から浮き彫りにしている。

 とにかく、明るい話がほとんど出てこない。
 明るい話は、『日本経済新聞』の有料電子版が意外に健闘していることくらい。もっとも、健闘といったって、2年かけて有料購読者が20万人に達したというだけのこと。紙版の発行部数に比べたら微々たる数字である。

 まあ、本書に出てくる“出版・新聞をめぐる暗い話”の多くは、業界人ならどこかで耳にしていることでしかない。
 ただ、本書のように暗い話ばかり集めて見せつけられると、さすがにすごい迫力で、心中に暗雲が立ち込める気分になる。たとえば――。

 出版界の売り上げも1996年に過去最高の2兆6563億円を記録してからは、下降の一途となり、毎年、500億~1000億円減り続けてきた。
(中略)
 新聞、出版というプリントメディアが、これまでと同じように毎年1000億円縮小していくと、どうなるだろうか? 単純に言って、20年でゼロになってしまう。2032年には、プリントメディアは完全に消滅してしまうことになる。



 そして、それに代わる電子書籍も、日本ではいっこうに普及が進んでいないのである。
 たとえば、雑誌『論座』を休刊し、有料電子雑誌『WEBRONZA』を立ち上げた朝日の関係者が明かす内幕――。

「ひどいときは有料会員数が500人に達していませんでした。それも多くは朝日関係者だったので、純粋な部外読者はおそらく200人くらいだったのではないでしょうか? それでも1年以上かけて、なんとか3000人ほどになったといいます。ただ、赤字」



 朝日でさえそんなありさまなのだ。

 ほかにも、「アメリカの新聞を支えているのは広告収入だが、アメリカ全新聞の広告収入はグーグル単体にさえおよばない」とか、聞き捨てならぬ暗い話が目白押し。

 10年後に、私たちフリーライターのうち何割が生き残っているだろうか?

 私はときどき当ブログの検索フレーズを見てみるのだが、このところ目立つのが、「ライター 仕事がない」「ライター 廃業」という検索フレーズでやってくる人。つくづく不景気な業界なのである。
 いまのうちにカタギになってトラック転がすか、田舎に帰ってトマトでも作ったほうが賢明かもしれない。
 ま、私にはライター以外の仕事はできないし、郷里に田畑もないので、最後までこの業界にしがみつく所存ですが……。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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