内田樹・小田嶋隆・町山智浩・平川克美『9条どうでしょう』


9条どうでしょう (ちくま文庫)9条どうでしょう (ちくま文庫)
(2012/10/10)
内田 樹、平川 克美 他

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 新年早々大風邪を引いてしまった。

 3日ほど寝込み、昨日からそろそろと仕事再開。
 昨日は取材で神戸へ。くしくも阪神・淡路大震災の起きた日だったが、震災とはとくに関係ない企業取材。
 まだ寒気があり、行き帰りの新幹線ではポーッと寝てすごす。


 家で寝込んでいた間に寝床で読んだのが、内田樹・小田嶋隆・町山智浩・平川克美著『9条どうでしょう』(ちくま文庫/714円)。

 2006年の第一次安倍晋三政権当時、改憲論争が盛んになったことをふまえて出された単行本の文庫化。
 文庫化直後に第二次安倍政権が発足し、ふたたび改憲が大きくクローズアップされているのは、不思議な因縁というべきか。

 著者4人がそれぞれ1章を担当し、独自の憲法9条論を展開している。結論としては4人とも9条堅持の立場。それも、眉根にシワ寄せた感じの護憲論ではなく、「んー、べつに9条変えなくてもいいんじゃね?」くらいの力加減の“軽いタッチの護憲論”になっている。

 4人の顔ぶれを見ればわかるとおり、岩波的な旧来型の護憲論になるはずもない。4つの論考とも、憲法学者にはけっして書き得ないような意表をつく角度からの護憲論で、面白く読めた。

 とくに面白かったのは、内田樹さんの論考。
 かつて岸田秀が“ペリーの来航によって屈辱的開国を強いられたとき、日本の集合的自我は危機に遭遇し、内的自己と外的自己に分裂した”と主張した(『ものぐさ精神分析』)ことをふまえ、憲法9条と自衛隊を与えられたとき、同様のことが起きたとする内容なのである。

 日本人は「内的自己」と「外的自己」、改憲派と護憲派に人格解離することによって疾病利益を得るという道を選んだ。私はそう考えている。
(中略)
 敗戦日本の人々は「奴僕国家」として「正気」であることよりも、「人格分裂国家」として「狂気」を病むことを選んだ。



 憲法9条と自衛隊の間の矛盾について、こんな角度から論じた人はこれまでいなかっただろう。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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