矢部宏治・須田慎太郎『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること』


本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること―沖縄・米軍基地観光ガイド本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること―沖縄・米軍基地観光ガイド
(2011/06)
矢部 宏治

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 矢部宏治・須田慎太郎著『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社/1365円)読了。

 版元・書籍情報社の代表でもある矢部が、カメラマンの須田とコンビで作った本。沖縄国際大学教授の前泊博盛が監修を務めている。

 副題のとおり、「観光ガイド本」を模した体裁で作られている。おすすめ観光スポットの紹介もあれば、有名レストランの場所を含むマップもある。しかし、メインに紹介されているのは米軍基地と関連施設ばかりなのだ。

 こうした本のつくり自体、痛烈なアイロニーになっている。米軍基地さえなければ、ハワイをしのぐ国際的リゾート地となるはずの沖縄。県内の一等景勝地が、軒並み米軍に占領されてしまっている沖縄――そんな苦い現実が、行間から浮かび上がってくるのだ。

 そして、一風変わった沖縄観光ガイドとしても、十分な実用性を具えた本である。
 米軍施設の中に入って写真を撮るわけにはいかないから、著者たちは施設がよく見える周辺スポットを探し、そこから撮影している。そして、どの場所から撮影した写真なのかが、逐一マップで示されている。それらの場所は、沖縄を旅した際に米軍基地をよく見てみたいと考えた者にとって、咎められずに観察ができる絶好のスポットとなるのだ。

 写真の合間に入れられた、矢部による計28本のコラム(書名の『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること』に相当するもの)も、じつによくできている。
 コラムといっても1本が4ページ程度のわりと長いもので、沖縄と米軍基地をめぐるさまざまな問題がひととおり概観できる内容だ。我々「本土の人間」にとっては目からウロコの事実も、多数盛り込まれている。

 ヴィジュアルと文章の両面から理解できる、上質の「沖縄・米軍基地問題入門」である。  

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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