小川仁志『日本の問題を哲学で解決する12章』


日本の問題を哲学で解決する12章 (星海社新書)日本の問題を哲学で解決する12章 (星海社新書)
(2012/07/26)
小川 仁志

商品詳細を見る


 今日は千葉県柏市で企業取材。「京北スーパー」の社長さんにお話をうかがう。

 行き帰りの電車で、小川仁志著『日本の問題を哲学で解決する12章』(星海社新書/861円)を読了。

 産官学を経験した異色の哲学者が、現代日本が抱える12のアクチュアルな問題を取り上げ、対立する2つの論点に光を当て、哲学の知見をふまえて解答を出そうとする試み。文春の『日本の論点』を一人でやってみたような本。その意味では、宮台真司の『日本の難点』の類書でもある。

■関連エントリ→ 宮台真司『日本の難点』レビュー

 章立ては、以下のとおり。

第一章「どうなる民主主義!やっぱり気になる橋下徹」
第二章「どうなる安全保障!いつまでアメリカに守られるつもり?」
第三章「どうなる市場経済!格差や就職難は誰のせい?」
第四章「どうする税と社会保障!「弱者のための消費税増税」は正しい?」
第五章「どうする原発!停電は困る。でも放射能はもっと困る」
第六章「どうなるTPP!国内産業の保護かグローバル化か」
第七章「どうする政治制度!コロコロ変わる総理大臣」
第八章「どうなる道州制!都道府県はもういらない?」
第九章「どうなるネット時代の政治!インターネットで変わる世界」
第十章「どうする同性婚!結婚は多数決で決めるもの?」
第十一章「どうする裁判員制度と死刑!私たちが人の死を決めていいのか?」
第十二章「どうなる日本の教育!詰め込み教育か、ゆとり教育か」



 本書の最大の美点は、わかりやすさ。
 複雑な問題の枝葉末節をバサバサ切り落とし、論点を単純化し整理する手際が鮮やかだ。マイケル・サンデルをもっとわかりやすくした普及版といおうか、“政治哲学界の池上彰”といおうか。
 ……などというとホメているようには聞こえないかもしれないが、ホメ言葉として書いている。著者の知的咀嚼力は素晴らしい。

 ただ、いかんせん、「わかりやすい」と「面白い」はイコールではない。
 各章で導き出される結論の多くは優等生的で無難なものであり、私のようないい年したすれっからし読者には物足りない。薄味すぎて、ケレン味と毒気のスパイスが足りないのだ。

 でもまあ、若者が世の中のことを少し真面目に考えるきっかけとして読むにはいい本だ。岩波ジュニア新書だったらちょうどよかった感じ。

関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。54歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
25位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
19位
アクセスランキングを見る>>