岩本沙弓『最後のバブルがやってくる』


最後のバブルがやってくる それでも日本が生き残る理由 世界恐慌への序章最後のバブルがやってくる それでも日本が生き残る理由 世界恐慌への序章
(2012/04/26)
岩本 沙弓

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 岩本沙弓著『最後のバブルがやってくる――それでも日本が生き残る理由 世界恐慌への序章』(集英社/1680円)読了。

 金融コンサルタント・経済評論家の著者が、今年あたりから2016~17年にかけて“資本主義最後にして最大のバブル”がやってくると予測した一般向けの経済書。読者を煽り立てる感じのタイトルはトンデモ本風だが、読んでみたらまっとうな内容だった。

 金融の専門用語も頻出するのだが、そのわりには私のような経済オンチにもわかりやすい本だ。基本的には個人投資家向けの本だが、たんに世界経済・日本経済の先行きを概観した書として読んでもためになる。

 目からウロコの指摘がけっこうあった。
 たとえば、イラク戦争が起きた直接のきっかけは、じつは「原油決済のユーロ転換」にあったという指摘。

 「原油輸出の決済通貨を米ドルからユーロへという、イラクのかねてからの要求が国連で承認されたのが(2000年)10月30日」であり、それは「米ドルの信頼を貶め、世界経済における米国の覇権を根本から揺るがしかねない」出来事だった。
 だからこそ、米国はありもしない大量破壊兵器を根拠にイラクに戦争を仕掛けた。そして、2003年のイラク戦争終結直後、「イラクの原油代金の決済は、ユーロから戦勝国である米国のドルへと戻され」たという。

 ううむ、面白い(もっとも、著者以外にもこうした見立てをする人は少なくないようだが)。
 著者はこのような大胆な見立てを連打して、世界経済の未来を展望していく。
 たとえば、米国が近い将来金本位制を復活させ、そのことによってドルの基軸通貨としての地位を保とうとする、と予測している。

 そして著者は、数年以内に世界に「最後のバブル」が訪れるが、それはその後の世界恐慌の序章である、とする。

 私が3年ほど前に読んで感心した類書に、徳川家広の『バブルの興亡』がある(→当ブログのレビュー)。
 コワイのは、徳川家広と著者の予測が、「もうすぐバブルがきて、その後に大恐慌がくる」という点でピタリと一致しているところ。

 著者は、「最後のバブル」とその後の大恐慌の対策として、“2016年までの上昇気運の間に積極的投資を行い、バブルがはじける前に売り抜けること”を勧めている。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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