ロバート・グラスパー・エクスペリメント『プラック・レディオ』


ブラック・レディオブラック・レディオ
(2012/02/22)
ロバート・グラスパー・エクスペリメント

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 ロバート・グラスパー・エクスペリメントの『プラック・レディオ』(EMIミュージック・ジャパン)をヘビロ中。

 ロバート・グラスパーはジャズ・ピアニストで、彼がヒップホップ寄りの音楽をやるときのバンドが「エクスペリメント」ということらしい。
 私はこの人のことを知らなかったのだが、いい音楽を探すアンテナとしていつも読んでいるブログ「中年音楽狂日記」で絶賛されていたので、気になっていたアルバム。

 EMIのサイトに本作の特設ページがあるので、ご覧あれ。

 グラスパーはもともとジャズとヒップホップの間をつなぐ創作活動をしてきた人で、本作はそうした試みの集大成的アルバムであるようだ。

 内容は一言でいえば、ジャズとヒップホップとR&Bのクロスオーヴァーであり、いいとこ取り。それぞれのジャンルから上澄みだけをすくって作り上げたような、とても知的で上品な音楽。それでいて難解さはまったくなく、すこぶるポップで聴きやすい。
 グラスパー自身によれば、「従来のジャズ・ファンと、そうでない人たちの懸け橋になれればいいなと思って作ってアルバムなんだ」とのこと。

 グラスパーの美しく繊細なピアノを核に、エリカ・バドゥ、ミシェル・ンデゲオチェロ、モス・デフ、レイラ・ハサウェイなど、ジャンルを超えた一流アーティストたちがヴォーカルやラップで参加。
 シンガー/ラッパーは曲ごとに変わり、まことにカラフルだが、それでいて全体にはたしかな統一感がある。

 デヴィッド・ボウイの初期作品「ヘルミオーネへの手紙」や、ニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」のカヴァーが入っていたりして、ロックとの境界線も軽々と越えている感じ。
 その意味で、ハービー・ハンコックが『ザ・ニュー・スタンダード』『イマジン・プロジェクト』あたりでやってきた、ジャズとポップのクロスオーヴァーの試みにも近いだろうか。そういえば、『ザ・ニュー・スタンダード』にはニルヴァーナの「オール・アポロジーズ」のカヴァーが入っていたっけ。

 『プラック・レディオ』というタイトルのとおり、ラジオからさまざまな曲が絶え間なく流れてくるような、BGM的な心地よさに満ちたアルバム。

 ゴリゴリのジャズ・ファンから見れば「こんなのジャズじゃない」ってことになるかもしれないし、ヒップホップ・ファンから見ればお上品すぎるアルバムかもしれない。
 が、ジャンルはどうあれ、心地よさとカッコよさはバツグンのアルバムだ。レイラ・ハサウェイのヴォーカルをフィーチャーしたシャーデーの「チェリッシュ・ザ・デイ」のカヴァー(↓)など、原曲よりいいくらい。



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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