村田有美『KRISHNA(クリシュナ)』


KRISHNAKRISHNA
(2012/08/23)
村田有美

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 「マライア・プロジェクト」のディーヴァ、村田有美の1980年のアルバム『KRISHNA(クリシュナ)』が、オンデマンドCDという形ではあるが、32年の時を経てようやく初CD化された。

 私は、当然すぐに注文してゲット。
 このアルバムのオープニング・ナンバー「Let It Blow」が私は大好きで、以前このブログでも取り上げて次のように紹介したことがある。

 同じ曲がマライア(マライア・キャリーじゃないぞ)のファースト・アルバム『YENトリックス』にも入っていたが、この村田有美のヴァージョンのほうが数段上の出来である。
 チャカ・カーンとビョークを足して2で割ったような、すごいヴォーカル。パワフルかつコケティッシュ、そしてとんがっている。
 曲もいいし、演奏も最高。フュージョンとロックとブラコンの先鋭的側面のみを集めて作った、という趣。村田有美のソロアルバムが、これまで一度もCD化されていないのは不思議で仕方ない。

 村田有美はいまボイス・トレーナーをしているそうだが、これほどの逸材が表舞台から消えてしまったのは惜しいかぎり。



■関連エントリ→ マライア『YENトリックス』レビュー

 この『KRISHNA』についてはほかの方が書いた詳細なレビューがあるので、そちらもご覧あれ。
 
 いまの時点で聴き直してみると、まとまりのないとっちらかったアルバムである。「Morning Telephone」という曲などはまるで古い歌謡曲で、途中に入る芝居じみた長ゼリフなど、聴いてて気恥ずかしくなる。
 また、後半の「グレン・ミラー・メドレー」は、よくできてはいるものの、マンハッタン・トランスファーの二番煎じ感ふんぷんで、「これって、べつに村田有美がやらなくてもよくね?」と思ってしまう。

 とはいえ、マライアの音楽をそのまま村田のヴォーカルに置き換えたような3曲――「Let It Blow」「Midnight Communication」「The Krishna」の素晴らしさは、もう圧倒的だ。
 ハードでファンキーでソウルフル、そして独創的。村田有美以外の女性シンガーがこの3曲を歌ったとしても、絶対さまにならないはず。それくらいすごいヴォーカル。

 村田有美のアルバムとしては、同時に『卑弥呼』(1981)もオンデマンドCD化された。昨年にはファーストソロアルバム『Yumi Murata 1st』もCD化されている。
 『卑弥呼』は、個人的にはあまり好きなアルバムではない。『Yumi Murata 1st』は未聴だが、マライア・プロジェクトにかかわる前のアルバムだし、どうも普通のポップス・アルバムであるらしく、あまり食指が動かない。

 あとは、85年のアルバム『ユータラス・ユータラス』をぜひCD化してほしい。
 個人的には、マライア×村田有美の一連の作品の中でいちばん好きなアルバム。同作に入っている「ワンダーライフ」「不思議起きて」「ハングリー・スカイ」の3曲はそれはそれは素晴らしく、私はいまでもその3曲をつづけて入れたMDをたまに聴いては元気をもらっている。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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