『西村賢太対話集』


西村賢太対話集西村賢太対話集
(2012/04/19)
西村 賢太

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 『西村賢太対話集』(新潮社/1575円)読了。

 私小説書き・西村賢太の初の対談集である。
 相手となるのは、町田康・島田雅彦と朝吹真理子(これのみ鼎談)・高橋三千綱・坪内祐三(2回登場)・石原慎太郎・朝吹真理子(2回登場)・上原善広・高田文夫。

 最後の高田文夫だけが一見異質だが、西村は少年時代に「ビートたけしのオールナイトニッポン」を愛聴して以来、高田の熱烈なファンなのだという。

 内容は、高田文夫との対談を除けば、創作の舞台裏を明かした文学対談になっている。

 西村賢太は小説でもけっこうサービス精神に富んでいる作家だが、対談でもそのサービス精神がいかんなく発揮されている。相手をヨイショもすれば、読者を楽しませるための軽口も叩く、という具合。
 文壇ゴシップのたぐいも随所に盛り込まれており、下世話な楽しみ方もできる本である。とくに坪内祐三との対談は、小説家や文芸編集者についてのウワサ話が面白い(名前部分が伏字だらけ)。

 朝吹真理子との対談は互いにどうでもいいことばかりしゃべっていて退屈だが、ほかはわりと高水準。とくに、町田康との対談はバツグンの面白さ。町田は西村作品をかなり読み込んでおり、深い次元での理解者という趣。

 「隴を得て蜀を望む」たぐいの難を言うなら、どの対談も話の流れがスムースすぎて、そこがあまり西村賢太らしくない。途中で互いを罵倒し合う口げんかになるような殺気立った対談も、1つくらいあってよかった。

 とはいえ、西村賢太のファンなら間違いなく楽しめる対談集ではある。

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コメント

Re: No title
ハサウェイ様

> 私も、町田氏、坪内氏の部分がとても楽しく読めました。

ですよね。
二人とも西村賢太のよき理解者ですし。
「友人など一人もいない」といつも書いている西村賢太ですが、意外に「味方」は多いんだな、と思わせる本でした。

あと、「いつもエッセイでボロクソに書いている『新潮』の担当編集者と対談したら面白いのに」と思いました(笑)。
  • 2012-07-31│02:36 |
  • 前原政之  URL│
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  • 2012-07-25│10:22 |
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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