坂口恭平『独立国家のつくりかた』


独立国家のつくりかた (講談社現代新書)独立国家のつくりかた (講談社現代新書)
(2012/05/18)
坂口 恭平

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 坂口恭平著『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書/798円)読了。
 仕事の資料として読んだものだが、たいへん刺激的で面白い本だった。

 タイトルだけ見ると「目が据わった左翼の人かな」という感じだが、そうではない。これは新たな世界観・国家観・経済観・価値観を提示する一種の哲学書、思考実験の書であり、「世界が変わって見える」ような本である。辻信一さんの名著『スロー・イズ・ビューティフル』を読んだときと同質の衝撃を味わった。

 一般の自己啓発書とは似ても似つかない内容だが、語の本来の意味で「自己啓発書」と呼びたい。
 いや、むしろ「自己覚醒書」とでも言うべきか。お金や家、国家などに対する考え方のオルタナティヴを提示し、それまでの思考の枠組みから一歩出ることを教えてくれる本だからである。

 著者は早稲田の建築学科を出た建築家なのだが、「日本の法律でいうところの『建築』は建てたことがない」という。ただし、ホームレスの住まいから着想した「モバイルハウス」ならたくさん作っている。そして、作家・絵描き・音楽家・踊り手・歌い手でもあり、ヨーロッパでは「パフォーマンス芸術家」として認識されているという。

 そして、昨年の東日本大震災後の政府の対応に憤り、そのことがきっかけで「新政府樹立」を宣言。現在はその「国」の「初代内閣総理大臣」を名乗って活動している。
 本書はその顛末と、そこに至る著者の歩みを綴ったもの。
 
 いちばん面白いのは、著者が“注目すべきホームレスの人々との出会い”から、彼らを手本としてお金に依存しない生き方を模索していくプロセス。
 ホームレスを貧困問題の犠牲者ととらえるのではなく、むしろ新しい生き方の体現者として見る視点が斬新だ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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