『長嶋有漫画化計画』


長嶋有漫画化計画長嶋有漫画化計画
(2012/03/17)
うめ;ウラモトユウコ;衿沢世衣子;オカヤイヅミ;カラスヤサトシ;河井克夫;小玉ユキ;島崎譲;島田虎之介;萩尾望都;100%ORANGE;フジモトマサル;陽気婢;吉田戦車;よしもとよしとも



 『長嶋有漫画化計画』(光文社/1680円)を読んだ。

 長嶋有の作家デビュー10周年を記念した、彼の小説を人気マンガ家たちがコミカライズ(マンガ化)する試みをまとめたもの。
 『小説宝石』に連載されたものにくわえ、描き下ろし作品が5作もプラスされている。430ページを超えるポリュームで、参加したマンガ家の顔ぶれも豪華だ(→長嶋有公式サイト内の特設ページ参照)。

 長嶋は『週刊文春』にマンガについてのコラム『マンガホニャララ』を連載(ブルボン小林名義)しているほどディープなマンガ読みだから、いかにも彼らしい試みではある。

■関連エントリ→ ブルボン小林『マンガホニャララ』レビュー

 たんに原作を提供するだけではなく、作品のセレクト、マンガ家の人選・原稿依頼にまで長嶋自身がかかわり、マンガ家と綿密な打ち合わせを重ねたうえで作業が進められたようだ。つまり、長嶋は本書のプロデューサーとしての役割まで果たしたのである。

 私は長嶋有の小説が好きだし、参加しているマンガ家にも好きな人が多い。だから大いに期待して本書を読んだのだが、思ったほど面白くなかった。てゆーか、かなり玉石混交。
 まあ、もともと長嶋作品はあまりマンガ化向きではないのかもしれない。

 作家性の強いマンガ家が多いだけに、原作をそのままなぞったような芸のないマンガ化は少ない。作品によってはかなり大幅にアレンジされている。
 たとえば、長編『パラレル』は、うめ(というマンガ家)によってなんとボーイズラブ風にアレンジされてマンガ化されている(原作にBL臭はなし)。
 で、そうした大胆なアレンジが見事に決まっているものもあれば、「うーん、外したな~」というものもある。

 私がいいなと思ったのは、カラスヤサトシによる『夕子ちゃんの近道』、小玉ユキによる「泣かない女はいない」、ウラモトユウコ(この人は新人だが、新人離れした手慣れたマンガ化ぶり)による「サイドカーに犬」、河井克夫による「タンノイのエジンバラ」。
 とくにカラスヤサトシのものは、原作のエッセンスをきちんと活かしつつ、4コマ風に話を細かく区切り、笑えるオチなどを盛り込むことによって、まぎれもない「カラスヤサトシの世界」になっている。見事なアレンジだと感服した。

 なお、長嶋有は本書の試みと並行して、マンガ作成ソフト「コミPo! (コミポ)」を使ったマンガ『フキンシンちゃん』をウェブ連載していたが、それが先ごろついに単行本化され、マンガ家デビュー(?)も果たしたらしい。
 ううむ、こんなふうに“真剣に遊ぶ”姿勢は、いかにも長嶋有ですなあ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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