鈴木智彦『ヤクザ1000人に会いました!』


ヤクザ1000人に会いました!ヤクザ1000人に会いました!
(2011/04/08)
鈴木 智彦

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 鈴木智彦著『ヤクザ1000人に会いました!』(宝島社/1200円)読了。

 『潜入ルポ ヤクザの修羅場』がバツグンに面白かった鈴木の、15年のヤクザ取材経験をふまえた「ヤクザの雑学」本。

■関連エントリ→ 鈴木智彦『潜入ルポ ヤクザの修羅場』レビュー

 著者は過去12年にわたり、ヤクザを取材するたびに共通の質問項目を並べた無記名アンケート調査をしてきたのだという。その目標数が1000件。「統計学上信用に足る数値は、1000件のサンプルだから」だ。
 もっとも、本書を書くまでに集まったのは612件だそうだが、対面取材してきたヤクザは1000人を超えているというから、タイトルに嘘はない。

 この手の「ヤクザの雑学」本は過去にもいろいろ出ていて(山平重樹・監修/『週刊大衆』編集部・編の『ヤクザ大辞典』など)、私もいくつか読んでいるが、本書がいちばん面白かった。

 誰にでも読みやすいよう、ヤクザ社会の雑学を集めた形をとったが、既存のヤクザ本より、ずっとまともなドキュメントになったはすだ。



 ……と「まえがき」にあるとおり、類書の多くが「ヤクザ礼賛寄り」であるのに対し、本書はぎりぎりのところまで本音バチバチで書いているし、著者独特の乾いたユーモアが全編にちりばめられていて、なかなか笑える本なのである。

 アンケート調査の集計結果を紹介した第1章が本書の売りなのだろうが、一読者としては、15年の取材経験で得た知識を総動員してヤクザの実像に迫った2章以降のほうが面白かった。

 私が爆笑した一節を引く。

 とある関東の若手組長は、自分が若い衆の刺青を彫るようになった。もともと絵心があって、墨絵や書、水墨画では飽きたらず、ついに刺青を趣味にしたのだ。今ではかなりの腕前で、他団体の若い衆からの依頼もあるらしいが、最初に現場を見せてもらったときは、若い衆に心から同情した。なにせ針の加減が分からないから、若い衆の肌で実験をするのだ。
「てめぇこの野郎、じっとしてやがれ」
「は……はい、でもオヤジ、なんか変じゃないですか。先生のときより、ずいぶん痛いような」
「ガタガタいうんじゃねぇよ。おとなしくしねぇと、ドラえもん彫るぞ!」



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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